フォーチュンガールの楽園

読むと笑顔になり、希望がわき、勇気がみなぎり、幸せになる自作小説を公開

いじめバスターズ!いじめっ子の心を退治します。

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タイトル『いじめバスターズ』

  ~いじめの心をやっつけろ!~

 

この物語のテーマは、

いじめっ子の心をやっつけろ!です。

 

人をいじめてる自分自身がいやでたまらない主人公が、

その自分の心を退治する、やっつけるお話です。

いじめは、誰も、幸せにしない。

人をいじめても、それは結果、自分自身の心をズタボロにする 。

そんなメッセージをこめて物語を紡ぎました。

 

 《ここからが本文です》

 

この世に『頭がよくなるクスリ』があったら、いいのにな、と思う人は多いと思う。

でも、ぼくは、『心を直すクスリ』があったらいいと思う。

 

「ドクター。検査の結果がでました。〝いじめ〟指数9です」

「ギリギリの数字だな。よし、では、クスリで様子をみよう」

ここは、真夜中の、ぼくの部屋。

ぼくは、ぐっすり眠っているらしい。

でも、はっきりとわかるんだ。

誰かが、さっきから、ボクを調べている。

フシギと、怖くはないんだ。

とても、心地よくって、起きてみたいけど、眠くって起きられない。

電話のベルのような音がなり、

「はい、イジメ・バスターズです。はい。今、治療中でして。ドクター。

緊急出動の要請ですが」

「わかった。ここはもう、終わるから、すぐに行くと伝えてくれ」

ボクは、半分眠った頭で考えた。

〝イジメ・バスターズ?〟それって、なんだ?治療中って?。

ドクターと呼ばれる人が、ぼくの頭を優しくなでた。

あったかくて、心地いい感触だ。

「大丈夫。絶対に治るからね。さぁ、行こう」

ボクは、また、深い眠りに落ちた。

 

朝、目が覚めたら、軽い頭痛がした。

さわやかに、晴れた空。

でも、ボクの心はいつも、どしゃぶりの雨みたいだ。

何が原因かって、わかっている。もう、こんな事は、やめようって。

『助けてほしい』って何度も、思った。

でも、誰に言うんだ。どうせ誰も、ボクの気持ちなんか、わかってくれないんだ。

 

学校に行ったら、アイツが、一瞬、怯えた顔で、ボクを見た。

その、怯えた態度が、むかつく。無性に腹がたつ。

もっと、もっと、〝いじめ〟たくなる。

二度と学校に、来れなくしてやりたい。

そう、思った瞬間、頭が割れそうに痛くなった。胸も息苦しい。

どうしたんだ。ボクは、どうしたんだ。

痛い!苦しい!死にそうだ!誰か、助けてくれ!

 

目が覚めたら、保健室のベットで眠っていた。

「大丈夫?気分はどう?」

保健室の先生が心配そうにのぞきこむ。

「はい。大丈夫です」

「もう少し、休んでいていいのよ。真っ青な顔して、教室で倒れたんだから。

勉強のしすぎなんじゃないの」

ボクは、来年、私立中学を受験する為に、放課後は、ほぼ毎日、塾に行き勉強している。

勉強は、嫌いじゃない。どちらかというと、好きな方だ。

だけど、毎日毎日、受験のための勉強って、何だろうって。

なんでこんなに勉強しなくちゃいけないのだろうって思う。

お兄ちゃんは、小学校から受験して、私立に入った。

ぼくだけ、小学校の受験に失敗した。

お母さんは、そんな、ボクがキライなんだ。

『どうしてお兄ちゃんは、できるのにあなたはできないの?』が口癖だ。

仕事で、別の遠い所に住んでいるお父さんとは、もう、何ヵ月も、口をきいていないし、ほとんど、会っていない。

 

教室に戻ったら、アイツは、いない。

仲間の一人が、「アイツ、キミが保健室に行ったから、うちに帰ったよ」

「ふ~ん」

アイツとは、ボクたちの、今のいじめのターゲットだ。

ボクは、このクラスでは、ボスなんだ。

誰も、ぼくに逆らえない。だから、ボクが、気にいらない奴を、徹底的にいじめるんだ。

どうやって、いじめるかって。

まずは、無視だ。そして、わからないように、物をかくしたりする。

靴をかくすのが、一番こたえる。あとは、給食にわざとゴミを入れて、食べられないようにしたり。

いじめは、だんだん、エスカレートするんだ。

ボクだって、最初は、むしゃくしゃして、話しかけられても、無視しただけだったんだ。

そしたら、相手が、とても困ったり、おどおどする様子に、心が一瞬スカッとしたんだ。

そしたら、もっと、困らせたくなって。

先生も、ボクのやっている事を知っている。

けど、何も言わない。

うちのお父さんと同じだ。

ボクらに興味がないんだ。

だって、ボクらを見る目が、腐っている。

ボクは、授業を受けながら、昨日の、夜の出来事を考えてみた。

〝イジメ・バスターズ〟って何だろう。

あれは、絶対に夢なんかじゃない。

ボクの頭をなでてくれた感触は、今でも残っている。

「先生。英語で〝バスターズ〟って、どういう意味ですか?」

ボクは、自分でも、ビックリした。授業中にこんな事を聞くなんて。

先生は、少し考えて

「バスターズ……やっつけるって意味じゃないか。前に、〝ゴースト・バスターズ〟っていう、おばけを退治する映画があったしな」

イジメ・バスターズとは『いじめをやっつける』ってことか。

いじめっ子のボクをやっつける?

でも、ボクの頭をなでてくれた人は、ドクターと呼ばれていたな。

ボクは、考えた。

昨日、ボクは、いじめの心をやっつける治療を受けたのか。

あの、ドクターと呼ばれていた人は、いったい誰なんだ。

でも、もしも、本当にボクのいじめの心をやっつけてくれるなら、

心から、そうして、欲しいと思った。

『ボクを助けて』って。

どんなに、いじめをしても、心は、晴れない。

だけど、怯えたアイツを見ると、たまらなくいじめたくなるんだ。

どうしても、その気持ちが押さえられなくなる。

クラスの中でも、一緒にいじめる奴や、知らん顔してる奴もいる。

知らん顔している奴は、次に自分がいじめのターゲットにならないように、おとなしくしている。

いやな奴らだ。

だから、ボクは、クラスのみんなが、キライだ。

でも、一番、今の自分が大キライだ。

 

家に帰ったら、珍しくお母さんが居た。

お母さんは、パートで仕事をしながら、お兄ちゃんの学校の役員をしているから、ボクが、家に帰っても、ほとんど家にいない。

 

ボクも、すぐに塾に行くから、お母さんとも、あまり顔を合わせない。

「ただいま。今日、塾休んでもいいかな」

「なんで?」

「ちょっと、具合が悪いんだ。今日、保健室で、寝てた」

「熱がないなら、行きなさい。一日さぼると癖になるから」

「頭が痛いんだ。胸も痛くなって、死にそうになったんだ」

「そう。それで?」

「だから、今日は、塾を休みたいんだ」

「ふ~ん。塾に高いお金払っているのよ。一日休んだらもったいないじゃない」

「塾なんか、もう、行きたくないよ」

「ちょっと。誰のためにお母さんも、お父さんも、大変な思いしてお仕事してると思うの。全部、あなた達の将来の為じゃない」

「自分の為だろ!自分の満足の為だろ!」

「小学校の受験に落ちていなければ、こんな苦労しなくて良かったでしょ。とにかく、塾行きなさいよ」

お母さんも、大キライだ!ボクの気持ちを聞いてくれない。

ボクだって、いっぱい、言いたい事あるんだ。

また、頭が痛くなってきた。胸も息苦しい。

このまま、死んでしまえばいい。ボクなんか生きていなくても、

誰も、困らないし、その方がいいんだ。

意識がぼんやりとして、目の前が真っ暗になった。

 

どれくらい、時間が経ったのだろう。

目が覚めたら、自分の部屋のベットで、寝ていた。

まだ、頭が、ガンガン痛い。

「気がついたようだね」

聞き覚えのある声がした。暗闇に目がなれると、お父さんくらいの歳の男の人が立っている。

「あなたは、誰ですか」

「私は、違う星から来た、心の傷を治す〝医者〟だよ」

「違う星?心の傷を治す、お医者さん?」

「そう。この星には、たくさん、心に傷をおった人があふれていてね。

特に、キミみたいに、心に大きな傷をおっている子がたくさんいるんだ」

「〝いじめ・バスターズ〟?ですか」

「そうだ。心に刺さった、いろいろな毒のトゲが原因となって、

さまざまな心の病気になる。それを治すのが、私の仕事なんだよ」

「ボクの病気は、治るの」

「ああ、必ず治るよ。頭が痛くなったり、胸が苦しくなるのは、

私が、治療したクスリが効いているからなんだよ」

「ボク、治りたい」

「大丈夫。自分から、治りたいって気持ちがあれば、必ず、治るよ」

「ずっと、助けて欲しかったんだ。こんな、自分が、大キライだった」

「誰の心にも、〝いじめ〟の心があるんだよ。でも、その悪い心に負けてはいけない」

「わかっているけど。やめられないんだ」

「人をいじめれば、いじめた分、いや、それ以上になって、自分が何かで苦しまなければならない。自分で、自分をメチャメチャにいじめているんだよ」

「…そうなんだ…」

「でも、キミは、もう治っているさ」

 

朝のまぶしい光で、目が覚めた。頭も、どこも痛くない。

心が、スカッと晴れている。

ボクは、はっきりと思った。

夢なんかじゃない。

あの人は、違う星から来た、心の傷を治すお医者さんって言ってた。

ボクの心を治してくれたんだ。

もう一度、あの人に会って、色々話してみたい。

けど、でも、もう、二度とあの人には会えないと思う。

だって、ボクは、生まれ変わったんだもの。

 

                       おわり

 

あなたの勇気の一歩が、そう、世界を変えるのです。

まずは、勇気を出して!!Let’s Stand up

                                                          スマイル・エンジェル

 

東京駅で逢いましょう

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付き合い始めて半年経った彼女の美鈴から、2週間前にラインが来た。

美鈴が「東京駅で逢いましょう」という、その日は、俺の、25回目の誕生日。美鈴が、俺の誕生日を祝ってくれるという。

平日だから、待ち合わせは、美鈴の仕事が終わった午後6時。

 

俺は、前から予定していた実家の帰省を早めに切り上げて、午後5時過ぎに東京駅に到着する予定の新幹線のこだまに新大阪から乗った。

俺は、窓際の席に座って、流れていく景色を眺めていた。

新大阪から発車して一時間を過ぎた頃、新幹線が名古屋駅に到着した時、その女性が乗ってきた。

 

60過ぎくらいの女性は、白髪混じりの髪をきれいにアップして、白地に藍色の植物の大柄で鮮やかなプリントのロングのワンピース姿で大きなスーツケースを押して入ってきた。

ゴールデンウィークが過ぎた週末を控えた平日だけど、客席は、全席埋まっていた。

その女性は、手持ちのチケットを見ながら俺の隣を探し当てた。

女性がとても、甘いいい匂いがしたのと満面の笑みで初対面の俺に「アロハ~」と言ったのに、俺は、少し面食らった。

 

電車が発車して少ししてから、女性が俺に「東京まで行かれるんですか」

と聞いてきた。

「はい」と返事をすると、

「東京駅も随分と変わってしまって。迷ってしまいますね。私も、東京駅で

降りますけど、今日は、友人がホームまで迎えに来てくれるんですよ」

その友人と言ったときの女性のはにかんだ様子が、何か秘密の出会いを臭わせたが俺は、さらりと流した。

別に、それ以上は、話すつもりはなかったけど、女性は、それから、ゆっくりとした口調で自分の身の上話しをしはじめた。

 

ミツコと名乗る女性は、横浜で生まれて育ち、東京の女子大を出たあと、数年間東京駅の近くの会社で働いた。

その時にある男性と知り合ったそうだ。

 

ミツコさんは、週に数回は、皇居の御苑にお昼休みに自分で作ったお弁当を持って食べていた。

そうしているうちに、何度も、一緒になる男性がいる事に気が付く。その男性も、いつも手作りのお弁当を持ってきていた。

ある時、男性がミツコさんに声をかけてきた。

「よくお会いしますね。お近くで働いているんですか?」

話すとお互いが隣同士のビルで働いている事がわかった。その男性は、ミツコさんより5歳年上で、お弁当は妻が作ってくれている物とわかった。

それからも、よく、御苑でその男性とお弁当を一緒に食べるようになる。

話しているとお互い好きな小説や映画や絵画など趣味趣向がとても合って、30分ほどの短いランチがとても楽しいひと時となったそうだ。

それから、数回、仕事の後、一緒にお茶を飲んだが、それも、男性が地方に転勤となり、その交流も終わった。

 

それからミツコさんは、親のすすめられた男性とお見合いして結婚し、子育てがひと段落した頃から、趣味で始めたフラダンスにはまり、数年間、本場のハワイにも住み、今では、自宅のある名古屋でフラダンスのスクールを主宰しているという。今日は、月に一回のカルチャースクールでのレッスンで講師として出向くのだという。

「でもね。今日は、もう一つ特別な用事があるの」

ミツコさんは、とても嬉しそうに「あの、皇居の御苑で一緒にお弁当を食べた方と40年ぶりに東京駅で逢うのよ」

「40年ぶりにですか?」

「そう。それがね。お互い連絡先なんか交換してないから、ずっと連絡も取ってなかったし、どこでどうしているか知らなかったんですけどね。その方のお嬢さんが、私の東京の生徒さんでね、一度、東京で開催したイベントに来てくれたそうなの。その時に私を見て、その後、もしかして、ってお手紙を頂いてね」

「じゃあ、ミツコさんは、40年間、変わってないってことですか?」

「いやね。そんなはずはないでしょうけどね。でも、そう、言われたわ。その時にお声をかけてくだされば良かったのでしょうけど、その時は、奥様もご一緒だったから、言い出せなかったそうよ」

「お二人は、その……」

「あら、何もありませんよ。本当に、気の合うというか、一緒に居て心地いい方でしたけど、もう、あちらは、ご結婚されていましたしね」

「でも、ミツコさんは……その男性を思っていたんでは」と俺は、ミツコさんの男性を語る様子から、感じた事を正直に言うと。

「そうね……。出会ったのが、遅かったのね。残念だけど」

「そうでしたか……」

最初、俺は、これから、美鈴と会うのに、ひと眠りしようと思っていたのに、途切れる事のないミツコさんの身の上話に、引き込まれしまった。

「あら、ごめんなさいね。わたしばかり話しちゃって。あなたは、何をされているの?」

「大学院で研究しています。まだ、学生です」

「あら~凄いじゃないですか。研究って、何を?」

俺は、大学院で心理学を専攻している事を話した。

「まぁ、素敵。心のお勉強をなさっているのね」

ミツコさんから聞いた話から、俺も、自然と美鈴との出会いを話しはじめた。

 

美鈴と出会ったのは、半年前だった。

 

 「赤と白のシマシマに惹かれますよね」

ライトアップされた東京駅のレンガ駅舎の写真をスマホで撮っていると、突然、後ろから声をかけられた。

俺が、振り返ると、若い女性がスマホを片手に笑顔で「今日、これで、4回目ですね」と言う。

俺は、彼女が言っている意味がわからずにいると、

彼女が、指を順番に立てながら「お昼、皇居で、赤飯の麻婆豆腐弁当を食べていましたよね。その後、大手町の平将門首塚で、そして、さっき、ステーションギャラリーで、そして、ここで。ねぇ。4回目でしょ」

今日の俺の行動を言い当てられて困惑していると、

「別に私、あなたを尾行していたわけじゃなですよ。私、職場がすぐ近くで、たまたま、偶然に出会ったというか」

最後の方は、少し困惑気味な彼女に、やっと少し、状況が飲み込めた俺は、

「そうなんですね。いや~そんな、偶然、あるんですね」

「私も、なんか、こんな一日で、同じ人と偶然に4回も逢うなんってね。初めてです」

彼女は、鎌田美鈴といい、東京駅のすぐ近くの会社に勤めるOLだと教えてくれた。

 

俺は、大阪から、大学の進学で、茨城県公立大学に進学した。

東京駅周辺は、実家に帰省する時に通過する程度で、改めて、散策した事が無かった。

東京駅のギャラリーで好きな作家の回顧展を開催しているのを知り、ゆっくりと散策する事にした。

その日、お昼少し前に東京駅に到着して、事前にSNSのツイッターやブログで東京駅周辺の情報を収集した俺は、東京駅から歩いて竹橋方面に向かった。

新聞社が入っているビルの地下にある、安くて美味いと評判の中華料理店で販売している麻婆豆腐弁当を買って、それを持って、二重橋を渡り、皇居の御苑に入った。

平日とあって、広くよく整備された園内は、外国人の団体の観光客が数組いたが、閑散としていた。

入口でもらった、園内のパンフを見ながら園内を30分ほどぐるりと回り、ベンチでお弁当を食べた。タマゴの入った濃厚なスープと辛めで本格な麻婆豆腐が美味かった。これで650円は、かなり満足できる。

 

御苑を出て、少し歩くと、都市伝説の一つの平将門首塚まで歩く。

平安時代中期の武将の平の将門は乱を起こすが失敗し、京都で処刑される。その首は数日さらしものにされた後、空高く飛びさり、途中で力つき地上に落下したとされる、数か所あるうちの一つがここの大手町にある。

平の将門の首塚は、高層のオフィスビルが林立する中で、この一角だけはうっそうとした木が茂った、あきらかに異空間だった。

噂によると、この周りのオフィスは、ここに尻を向けないレイアウトにしているという。万が一尻を向けたら、左遷や場合によっては、首が飛ぶとされている。過去にも、この場所を撤去しようとして、数々の不審な事件や事故が起きているそうだ。

俺は、興味半分で、その首塚に入ってみると、昼間だけど、どんよりとした重い空気が立ち込めていた。

平の将門を祀った墓石の周りには、必ず帰る(かえる)にひっかけ、ガマカエルの置物が沢山置かれている。俺は、霊感などはないが、なんとなく気分が悪く早々にそこから立ち去った。

そこから、東京駅に向かうと沢山の洗練されたオフィスや商業施設が立ち並び、さすが東京の中心地だ。

 

東京駅が一望できるオープンカフェでコーヒーを飲み、改めて東京駅を見る。100年も前に建てられて、国の重要文化財に指定された建物とあってその風格は日本が世界に誇れる文化遺産だ。

このレンガ作りは、100年前の明治時代ではかなりモダンだったようだ。東京駅の建物は、部分的に切石を用いた重厚なレンガ造建築として計画されて、駅構内のディテールはヨーロッパの大駅の例にならってはいるものの、車寄せ・屋根・棟・切妻などに見られるように、日本の伝統的な城郭と寺院建築の諸要素が引用されている。この背景には、設計したドイツ人の日本建築への思いが反映されているそうだ。このドイツ人は、日本に来日した際に日本建築の研究に取り組み、帰国後には日本建築に関する著作を著しているほどだ。

彼は当時の多くの日本人が、西欧の新しい文化のみにのみ感心を抱いて自国の文化をおざなりにする事に警告をして、あえて、日本の伝統の建築技術を取り入れたデザインとした。

その後、明治国家の建築権威を象徴する建築を数多く手がけた辰野金吾氏によってかつてなかったほどの巨大建築の駅舎となった。

辰野は、レンガだけでは強度が足りないと、レンガの間にがっちりと3100トンもの鉄骨を使用して強固な骨組みを作った。この安心設計のお蔭で、あの関東大震災でも崩れることなく頑丈に持ちこたえた。

しかし、1945年の東京大空襲で駅舎の一部が焼け落ちた。その後も数年前に大規模な修復、復元をして、見事に明治時代の良き面影のまま荘厳な駅舎が蘇った。

改めてこうして東京駅を俯瞰してみると、その圧倒的な存在感に畏敬の念を抱く。

 

 そして、初めて、東京駅舎の中にあるギャラリーに入った。

一気に3階まであがりそこから、階段で降りながら2階にある展示スペースの企画展示を鑑賞する。

 

企画展示は、この東京駅がある千代田区が、出版・印刷業がひしめく全国有数の街で、そこにある有名な出版社から出版された作家の画集や貴重な直筆原稿や挿絵を展示するものだった。

俺は、以前からこの作家のファンだったから、じっくりと時間をかけて鑑賞した。

そして、このギャラリーの大きな魅力である、3階から降りる八角形の廻階段のレンガに魅せられる。

創建時のままのレンガの壁面はこの建物が100年の歴史を今そのままに残しているのを感じられる。

空襲で焼けた時に炭化したという木のレンガや、時を経て漆喰されたレンガがそのまま残されている。

また、2階部分からは、東京駅北口の内側を歩く通路があり、下から見るのとはまた、一味違うドーム建築の美を楽しむ事ができる。

好きな作家の展示も堪能し、ミュージアムショップで、ここでしか買えないという限定のお土産品を買い、しばらく回廊から、改札口を行き来する人を眺めていたら、閉館の時間となった。

 

 外に出ると辺りはすっかり暗くなり、美しくライトアップされた駅舎が、また、一層荘厳にそびえ立つ。

そして、その駅舎をスマホで写真を撮っていたら、美鈴から声をかけられた。

美鈴が言うようにレンガの赤とそれをつなぐ目地がシマシマ模様に見える。それが、ライトアップで更に幻想的だ。

 

「あの良かったら、これから少し、飲みませんか?」

自然な美鈴の誘いに、俺は、困惑した。

今まで、若い女性に、いや、女性にこんな風に誘われた事など無かった。

自分でも言うのもだが、俺は、見た目、イケメンでもないし、これと言って人目を引くタイプではない。

過去に付き合った女性からは、一緒にいて落ち着く、癒し系でかつ草食系だそうだ。

かけているメガネも、真面目な印象だとも。

「あ、ごめんなさいね。突然、出会ってばかりで、びっくりですよね。4回も偶然に出会ったから、勝手にこのまま一期一会だと寂しいなって思って」

本当に、嫌みのない素直な美鈴の誘いに、俺も、腹を決めた。

こんな風に女性から誘われる事は、一生に一度あるかないかだ。

俺も笑顔で「いいですよ。別に帰るだけなんで」と誘いに乗った。

「嬉しい!じゃあ、行きましょう」

 

そして、美鈴が近くの居酒屋に連れて行ってくれた。

俺も、美鈴もお互いお酒はあまり強くないが、値段が安く肴が美味しく庶民的で居心地のいい店内で、終電近くまでいた。

店の明るい中で美鈴を改めて見るとあごのラインでカットされた髪を耳にかけて、少し、たれ目気味な目元だけど、優しい印象のなかなかの美人だ。

顎に小さなほくろがあり少し、色っぽい。

小ぶりのダイヤのピアスが光っている。

そして、お互い自己紹介すると、美鈴が俺よりも以外にも、5歳年上である事が分かった。同じ歳か、少し下かと思ったからだ。

美鈴は、俺の名前の俊雄から俊君と呼ぶようになり、その美鈴の気さくさに出会ったばかりのなのに、すっかり魅せられた。

「お昼のお弁当を買った、あの赤坂飯店はね、担々麺がすっごく美味しいのね。最初食べたら、もう~、背中が痛くなるほど辛いって思うんだけど、これが、病みつきになるのよ」

「俺、結構、辛いの平気なんで」

「そう、じゃあ、今度、食べに行こう。もう本当に辛いからね。覚悟してね」

それから、美鈴が、平の将門の首塚の話をしてくれた。

「前に、セクハラとパワハラのすっごく嫌なオヤジの上司がいたのね。

だから、10日間、毎日お供え物を持ってお参りに行ったのね。あの上司がいなくなりますようにって。そしたら、本当に首になったの。会社のお金を横領したのがばれてね」

「へ~。やっぱり、怨念伝説は、本当なんだ」

「まぁ、悪い事してたから、当然と言えばそうなんだけどね」

「でも、それをお願いする美鈴さんも、結構怖いですね」

「そうよ。私を苦しめる奴は、許さないもの」

「わ~、怖ぇ~」

それから、俺達は、連絡先を交換して、付き合うようになった。

 

俺が、美鈴との出会いをミツコさんに話した所で、三島まで到着した。

東京駅まであと1時間だ

その時、美鈴からお昼休みに撮影したという東京駅の写真と、

「もうすぐ俊君に逢えるね!すっごく楽しみにしています」とメッセージが届いた。

俺は、これから、大好きな美鈴に逢える高揚感を味わいながらも、ずっと心に引っかかっていたモヤモヤを隣に座っているミツコさんに打ち明けてみようと思った。

「今日は、俺の誕生日なんです」

「あら、そうなの。それは、おめでとう。いくつになるの?」

「25歳です」

「そう、いい時ね」

「実は、これから、東京駅で彼女と待ち合わせをしているんです」

「あら、素敵ね。彼女とお誕生日を一緒に過ごすのね」

「そうなんです。こんな事、言うの、おかしいんですけど……」

それは、一ヵ月前に東京駅でデートした時だった。

美鈴のお気に入りの東京駅のステーションホテルの中にある老舗和菓子屋でお茶をしている時だった。

「私ね、このホテルで誕生したんだ」

「えっ?」

「父がね、大の電車好きでね。特にこの東京駅が大好きで。結婚式をこのホテルで挙げてね。その晩、ホテルのスイートで初夜を迎えて、その時、見事に誕生したのが、私なの」

「ほ~、そう、なんだ」

「子供にそんな話をする両親も、どうかと思うけどね。その後、弟と妹が誕生するけど、それは、自宅だったそうだから、なんか、両親にしては、このホテルが特別な場所みたいで」

「そっか~」

「だから、私も、いつか、好きな人と結ばれる時は、このホテルがいいな~って思っていたの」

俺は、美鈴の話になんて答えていいか、困った。

付き合い始めて俺達は、キスまではしたけど、それ以上は、まだだった。

「正直に言うけど、私も、今まで、何人かお付き合いしたよ」

「……」

「でもね……なんかさ、俊君はさ、違うの。……だってさ、出会いが運命を感じるじゃない」

「そう……だね」

「来月の俊君のお誕生日、このホテルに泊まらない」

ストレートな美鈴の誘いに俺は、正直、戸惑った。

勿論、俺も、男として美鈴とそうなりたいと思っている。

しかし、美鈴は、自分の年齢を考えた時にその先に結婚を意識しているのだろうか。

俺は、まだ、大学院で勉強して、これから就職する立場だ。結婚は、更に先になる。

 

それに俺は、自分が結婚して家庭を持つと事には抵抗がある。

 

ミツコさんは、じっと、静かに心地よい微笑みを絶やさず、俺の言葉を待ってくれる。

「これは、今まで、だれか他人に話した事がないんですけど……」

そう前置きしてゆっくりと、息を吐くように、話を続けた。

 

俺は、大阪の市内に住み二つ歳の上の兄と両親の4人家族だった。

小学校に上がる時に父が、家を出て行った。後に、父が別の女性と暮らし始めた事を知った。

その後、母は、自分の実家のある、郊外に引っ越して、俺達は、祖父母と一緒に暮らすようになった。母も、数年は、一生懸命働いて俺達兄妹を養ってくれた。

しかし、俺が、小学校5年生になった、夏休みの少し前頃から、母が少しづつ家を空けるようになる。

最初は、祖母達は、母が、東京まで、仕事に行っていると説明した。

夏休みになった頃、母は、帰って来なくなった。

兄は、中学生で野球の部活に忙しく、一人取り残された俺は、夏休みなのに一人で寂しく過ごす事が多かった。

今から思えば、残された二人の孫を養うのに祖父は、仕事を掛け持ちして働いていた。

だから、年老いた祖母が無理して、俺を海水浴や遊園地に連れて行ってくれたけど、ちっとも楽しくなかった。

ある時、祖母と二人で行った遊園地から、俺は、勝手に一人で自宅に戻った。

俺が一人で帰ったとは思わない祖母は、半狂乱で警察まで巻き込み俺を捜索した。

そんな騒ぎになっているとは、全く考えていない俺は、自宅に仕事から戻ってきた祖父に問いただされて、初めて、祖母とはぐれて一人で帰った事の重大さを知った。警察からの連絡で、俺が無事に自宅に帰っている事を知った祖母は遅くに自宅に戻ってきた。

その翌日も、祖母は、何もなかったように、いつも通リに振る舞った。

 

自分の娘が、二人の子供を置き去りにして、蒸発した事の負い目からか、特に俺には、祖父母は、とても、甘かったと思う。

 

中学に入ってからも、親がいない寂しさから、少し荒れた時期もあったけど、

そんな俺を救ってくれたのは、小説だった。

物語に没頭することで、現実の切なさを忘れる事ができた。

そうしているうちに、何故、両親は、俺達を置いて出て行ったのだろうかと真剣に考えるようになり、やがて、それが、人の心理や内面に潜む感情にすごく興味を持つようになった。

それが、俺が、心理学を専攻するきっかけとなった。

心理学を学ぶ事で、自分自身の心のモヤモヤの原因が究明できるのではないだろうかとの希望があった。

 

ここまで、途切れ途切れだけど、俺は、自分が育ってきた環境をミツコさんに話した。

聞き終えたミツコさんは「それで、お母さまとは会ったの?」

「はい。母が家を出てから、半年置きくらいに母が、帰ってきました。一晩泊まるとその翌日には、また、帰って来なくなるので、もう、自分でも、あきらめました」

「そうだったの……それは、寂しかったわね」

「それから、母も、違う男性と、籍入れてませんが、住んでいる事がわかりました。なんか、すいません。こんな話をしてしまって」

「ううん。いいのよ。ずっと、一人で寂しさを抱えて生きてきたのね」

「今、俺の回りには、こおゆう環境で育った友達はいないんですよね。なんか、自分が欠けているっているっていうか、不運な家庭に育ったっていうコンプレックスがあるんですよね」

「そうなの~?私の回りも、片親やまた、そうやって、お孫さんを育てている方、いるわよ」

「でも、こんな俺が、まともな結婚して、ちゃんと幸せな家庭を築けるのかって、不安なんです」

「だからこそ、温かくて素敵な家庭を築けるんじゃないのかしら?あなたは、その年上の彼女との未来に不安を抱いているのでしょうけど、きっと、彼女は、あなたのその心の闇というか、もしも、あなたがご自分で欠けていると感じている部分を、埋めてくれる存在なんじゃないのかしら」

「そうですかね……」

「そうだと思うわよ。だって、私も、その彼女との出会い方に運命を感じるわ。素直に彼女とお付き合いを進めたらいいんじゃないかしらね」

「……なんか、自信がないんです。自分に。自分も両親みたいな人生を歩むんじゃないかって……」

ミツコさんは、俺の目をじっと見つめて、

「絶対にそんな事ないわ。あなたは、人一倍悲しく寂しい思いを味わってきたんだもの。誰よりも、家族を大切にする最高にいい父親になるわよ」

「そう、ですかね……」

「そうよ。将来は、どうするの?どんなお仕事をするつもりなのかしら?」

家庭裁判所調査官という仕事につこうかと思います」

「あら、どんなお仕事かしら」

家庭裁判所で離婚問題や少年犯罪などの、その背景の状況を調査して、判決をする時の判定の準備をする仕事なんです。離婚問題は、子供の親権争いや家庭内の複雑な問題が絡み合います。そこで、両親の都合で傷つけられるのは、子供たちなので。また、少年犯罪を犯す子供達も、複雑な家庭環境が背景にありますので。

そおゆう不遇な家庭環境にある子供達に、寄り添って少しでも、彼らが希望を持ち未来に生きていける一助になれればと思います」

「素敵なお仕事ね。そう、“宿命を使命に“って、私の好きな言葉なんだけどね。あなたの、その、ご自分の不遇だと思う環境を決してマイナスにしないで、それをバネに同じような環境に育った人達を助けたいと思っているんでしょう。それ自体がもう、あなたは、ご自分の不遇な家庭環境を乗り越えているわ。宿命を使命に変えているじゃない」

「そう、なんでしょうか」

「そうよ。だから、大丈夫。あなたは、立派な、素敵な理想の家庭を築けるわ。

まだ、先になるでしょうけど、運命の彼女と素敵な家庭を築けるわよ」

 

ミツコさんの本当に温かい眼差しと、真心のこもった励ましの言葉が、俺の心に染み渡る。

宿命を使命に、いい言葉だ。

今日、美鈴にも、俺の生い立ちを話そう、そう決心した。

 

そうして、東京駅に新幹線が到着した。

俺は、このミツコさんとの2時間ほどの一期一会の出逢いに心から感謝した。

 

一緒にホームに降り立つと、初老の紳士がにこやかに立っていた。

嬉しそうにミツコさんが、その紳士に近づき挨拶を交わしている。

ミツコさんが、俺に振り向き、軽くウィンクする。

ミツコさんが話してくれた40年ぶりに再会した御苑で一緒にお弁当を食べた彼だ。

俺も、ミツコさんに軽く会釈をして改札へと向かった。

 

そして、俺は、美鈴との待ち合わせまでの時間を夕日に照らさた、東京駅舎の前に立ち、赤と白のシマシマのレンガを眺めた。

 

 

 

 

 

 

 

盛岡からお昼に出発する新幹線は、コールデンウィーク開けの週末を明日に控えてか、満席状態だった。

私が指定された席に座ると反対側から初老の紳士がチケットを持って、入ってきて、隣の席に座った。

 

東京駅まで、2時間と少し。約束の時間には予定では1時間は早く着く計算だ。

私は、持って来た、読みかけの本をカバンから出して、メガネを探す。

最近、老眼か本を読むのにメガネが必要になった。

と言ってもまだ、45歳。老眼とは認めたくなかったけど、老眼鏡デビューをした。

しかし、入れたはずのメガネがカバンの中に見当たらない。

私は、堪忍して、窓の外の景色を眺めていた。

隣に座った紳士が、にこやかに、

「東京まで行かれるんですか」と尋ねてきた。

3年前に亡くなった父と同じくらいの歳か、にこやかな笑顔に私の少し、張り詰めていた気持ちがほぐれる。

「はい。そうです」

「東京駅も随分と変わりましたよね。娘とね前に駅で待ち合わせをしたら、迷って大変でした。結局、1時間もウロウロしてやっと会えたんですよ」

「そうですか。お嬢さんが東京にいらっしゃるんですか?」

「ええ、3人の娘の一番末っ子がね、東京に住んでいましてね」

「じゃ、今日は、そのお嬢さんにお逢いになるんですか」

「最終的には、そう、なんですけどね。でも、その前にちょっとね」

その紳士の含みのある言い方になにか理由がありそうだった。

吉田と自己紹介した紳士は、懐かしそうに、これは40年も前の話なんですけどねと前置きをして話し始めた。

 

吉田は、福島から東京の大学に進学して、そのまま、全国に営業所のある東京の丸の内に本社がある会社に就職した。そこで、結婚して二人目の子供が生まれた頃だった。

お昼休みは、大抵、奥様お手製のお弁当を持ち、皇居の御苑で食べていた。

ここは、静かで、人気もなく、神経を張り詰めた仕事から解放されるやすらぎのひと時だった。

また、ここに通っているうちに、よく一緒になる若い女性がいるのも、気になった。

彼女も手作りのお弁当を持ち、近くのベンチで一人で食べていた。

女性が一人で食べているのも珍しく、また、何よりも、その彼女が実に美味しそうに、食べる姿がとても微笑ましく、見ていて、こちらまで、楽しい気持ちにさせられたそうだ。

私は、吉田に「その彼女に声をかけたんですか」と思わず、突っ込んだ。

「はい。思い切って、彼女に話しかけました。私は、いつも一緒になるなと意識してましたが、彼女は、私の事は、全く視界に入っていなかったようでした。

お名前をミツコさんと教えてくだり、お互い隣同士のビルで働いている事がわかりました」

「ミツコさんですか」

「ミツコさんは、歳が3歳下でしたが、小説や映画、絵画など、私と実に趣味趣向が一緒でしてね。昼食時間の30分は、とても楽しいひと時でした。それから、何回か、仕事が終わった頃に待ち合わせをして一緒にお茶を飲みました」

「え~。そうなんですね。……あの~、吉田さんは、そのミツコさんを…」

「はい。好きでした」

「え~そうなんですか!」

「私は、その時は、妻も子供もいましたから、何かしようとは思いませんでしたが、ミツコさんには、トキメキました」

「え~なんか、複雑ですね」

「でも、きっと、これは、私の勝手な片思いですよ。今となっては、40年も前の懐かしい思い出です」

「結婚していても、そおゆう気持ちになるんですね」

「そうですね。でも、あのような気持ちになったのは、あれっきりですよ」

「私は、結婚もしてませんから、なんとも言えませんが」

「こんな話、誰にも話してませんけどね。実は、そのミツコさんと、これから、東京駅で逢うんですよ」

私は、思わず大きな声で「え~!!!」と叫んだ。

吉田が口に指をあてて、いたずらぽい笑顔で、し~とする。

私は、興奮冷めやらずで、その先を急いだ。

「あ、あのどうして、そうなったんですか?そのミツコさんと、どうして再会できるようになったんですか」

「それがですすね」と吉田がミツコさんとの運命の再会を語ってくれた。

 

東京に住む娘さんが、始めたフラダンスの発表会に招かれて、奥様と同行した時の事。

演目が最後になり娘さんのフラダンスの先生のワンマンショーが始まった時、吉田は、舞台に出てきて、優雅にフラダンスを踊る女性を見て、まさしく全身に雷に打たれたような衝撃だった。今、目の前で踊っているのは、40年前、一緒にお弁当を食べて密かに思いを寄せたミツコさんだった。

40年経っても、あの時の、人を温かく包み込むオーラと最高の笑顔は、全く変わっていない、いや、もっとその輝きを増し、神々しく光り輝いていた。

妻と一緒なのに、心臓の鼓動が激しくなり、息苦しくなったと。

自分は、ミツコさんをすぐに分かったが、講演が終わり、ロビーで娘から、父ですと紹介されてもミツコさんは、自分の事がわからなかったようだ。

それから、しばらくは、ミツコさんに再会できた喜びと、しかし、ミツコさんが自分の事をわからなかったショックで、気持ちが落ち着かない日々を過ごした。

 

娘には、それとなく、ミツコさんの主宰している名古屋のレッスン場の場所を聞き、思い切って手紙を書いた。

そうして、お互いの連絡先がわかり、今日、40年ぶりの再会の運びとなったそうだ。

 

聞き終えた私は「え~それで、え~どうなっちゃうんですか……」

「どうもなりませんよ。あちらにも、家庭がありますし。ミツコさんは、別に私の事など何とも思ってないでしょうし」

「え~、わかりませんよ。そっか~、40年ぶりの再会なんですね。実は、私もですね……」と保との事を話し始めた。

 

保とは、家が近所でずっと仲良しの友達だった。小学校6年間、そして、中学3年間もクラスが一緒だった。私達が、高校に進学する時、保が、群馬に引っ越しをする事になった。

引っ越しする時に、保から、好きだと告白された。私も、保の事は、好きだったけど、お互い山形と群馬で離れてしまい、しばらくは、文通をしていたが、それも、だんだん無くなり、高校を卒業して、お互い社会人になってからは、連絡を取らなくなった。

しばらくして、風の便りで、保がレンガ職人になって、結婚したと聞いた。

 

私は、その後、なんとなくお付き合いはした人は2、3人いたけど、結婚するところまではいかなかった。

そうして、婚期を逃した30代最後の歳に私は、人生最大の恋に落ちた。

彼は、私が勤める、スーパーの事務所に東京から単身赴任をしてきた店長だった。事務所の中では、一番の古株だった私は、何かと彼と意見がぶつかった。

しかし、ある日、彼が高熱を出して、仕事を数日休んだ。

さすがに、単身赴任で食事なども不自由かと思い、私は、差し入れを持って見舞いに行った。玄関に現れた憔悴しきった私より、3歳年下の彼は、普段職場では見せない顔を見せた。

その時、私は、本当に雷に打たれたように、彼に恋をした。

彼も、仕事でも沢山の問題を抱え、単身赴任している寂しさも相まって、私達は、一線を越えた。それから2年ほどその関係は続き、彼が、東京に戻る事になった。

 

その後も、私が、毎月東京に来てその関係は、続いた。

東京では、彼の仕事の都合と家庭があるため、私が、平日に一日休みを取って逢うようになった。少しでも、長く一緒に居られるようにと東京駅のステーションホテルが私達の密会の場所となった。

 

ある時、彼の急な仕事の都合で、半日ほど時間が合いた時、暇つぶしにと東京駅に隣接されていた美術館に入った。

展示品にはあまり興味がなく、美術館の2階の廊下からぼんやりと改札口を行きかう人を眺めていた時に

「あの、すみません」と声をかけらた。

見るとかなりおっさんになった保が立っていた。

私は、思わず「え~、もしかして、保!」と大声で叫んでいた。

平日の昼間で他にお客様はいなかったけど、静かなフロアに私の声は、響いた。

保が「和美、相変わらず、声、でかいな」と少し迷惑そうに言う。

「保、どうしてここにいるの?久しぶりだね」と注意されても、自然と声が大きくなる。

 

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保に促されて、東京駅を一望できるオープンテラスのカフェでお茶をする。

30年ぶりの再会にお互い競って、近況を話した。

保は、レンガ職人になり、今では、窯元として立派に独立して、数年前の東京駅の修復修繕のプロジェクトに参加したそうだ。時々、こうして、メンテナンスを兼ねて、現場を見に来ているそうだ。

「へ~あのレンガの一部が、保が焼いたものなんだ」

そう私が、話を振ると、保は、目を輝かせて語り始めた。

「この仕事で俺は、心底レンガ職人になって良かったって心から思ったよ。

この建物はさ、100年前に建てられんだけどさ、その外壁をコンクリートにしないで、レンガにしたのは、大きな意味があったんだよ。コンクリートだったら長い年月が経つと当然朽ちていく過程で取り壊して新しいものを作ろうとなるけどさ、レンガは違うんだ。朽ちたレンガもその良さというか建物の味わいとなりかえって風格となる。それが、100年経ってもこのような風化しない風格のを醸し出す。本当にレンガは、最高な建材だよ」

そう言われてみて、この東京駅がレンガでなくて、コンクリートの建物だったら、これほどの人を引き付ける魅力を感じさせないだろうし、国の重要文化財に指定される事も無かっただろう。

続けて保は、レンガ愛を熱く語る

「100年前に建てられ時は、レンガは一等品と二等品のみを使い、特に大きな荷重がかかるアーチリングの部分には優良品を選んで使用した。施工は入念に行われ、積み立て前のレンガは一個ずつブラシ洗いを行い、作業員一人の一日の積み立て個数も、通常よりもノルマを低目にして一個一個入念に積立て作業を行わせたそうだ。こうした施工時の入念な作業のおかげで建設から、100年経っても、びくともしない荘厳な駅舎の風格を保ち続けているんだ。俺も、修繕に参加させてもらって、その100年前の職人の仕事の素晴らしさが痛感できたしそれをまた、更に後世に残していけるって、俺の人生で最高の財産となった仕事だったよ」

保の話を聞いて、改めて、このレンガ造りの建物がどんなに凄い歴史の産物であるかがわかった。

保は、この駅舎の修繕がどんなに大変だったかをその後も延々と話した。そうしているうちに、彼から連絡が入り、私は、保と連絡先を交換して、彼の待つホテルの部屋へと急いだ。

 

それから、彼と逢った次の日に保と逢うように予定を組むようになった。

保は、早くに結婚したものの、子供が授からなかった事もあり5年で離婚して、それからは、ずっとお一人様生活らしい。仕事柄、ほとんど女性と知り合うきかっけがなく、周りの勧めで、過去に2回ほどお見合いをしたそうだけど、うまくいかなかったそうだ。

 

ここまで、私は吉田に一気に話した。

吉田は「それで、今日は、どちらの彼に逢うんですか」

「レンガの彼です。実は、今日は……」

 

 私は、保には、東京の彼との不倫の事は、内緒にしていた。

保は、私に彼氏はいないと思っていて、ある日、東京駅の駅舎の関係者しか入れない場所に案内してくれた。

そこで、保が一つのレンガを指して、ここを見てと言う。

私は、見たけど別に他のレンガと何も変わらないと思い、保を見ると

しびれを切らしたように少し苛立った口調で「わかんないかな」と言う。

「え~、何が?」

「ここだよ、よく見てよ」

保に言われた箇所に顔を近づけて見ると小さな何か模様のようなサインのようなものが見える。

ちょっと待ってと、私は、老眼鏡を取り出してみると

 

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《T・ハートマーク・K》と印字?されている。

「T・ハート・Kって見えるけど、一体、何?」

保がふてくされて「お前、本当に鈍いな~Tは保のT、ハートはラブで、Kは和美のKだよ」そう言って保は、年甲斐もなく顔を赤らめた。

そう言われて、数秒の間の後、今度は私が、思いっきり赤面した。顔から汗が出るほど、熱くなり、鼓動が激しくなった。

思わず大声で「え~、いいの?こんないたずらして!え~、だって、ここ東京駅だよ。これから、ずっと100年先も残るんだよ」

「そうだよ。和美は、俺にとって、ずっと愛し続けたい大切な人だからさ」

「……」

私は、か~と頭に血が昇るのが分かった。そして、全身の血が逆流するのが分かった。

「俺は、絶対、和美が結婚して幸せな家庭を築いているって思っていた。ずっと和美の事が忘れられなかったけど、もう、逢えないって思っていた。でも、俺の和美への思いを残したいって思って、ここに刻んだ」

真っ直ぐに保に見つめられて、私は、どうしていいかわからなかった。

「そして、こうして、ここで和美と奇跡的に再会した。これは、ここに刻んだ俺の思いが通じたと思う。……和美、俺と結婚してくれ」

私は、正直に嬉しかった。でも、直ぐに返事ができなかった。それは、どうする事もできないと分かっている彼の事を愛しているから。

返事に困っている私に、今度、逢う時は、結婚を前提に逢って欲しい。もしも、その気が無いのなら、もう、二度と私には逢わないと保が言う。

「それが、今日、なんだね」

「はい。そうなんです」

「そうですか……あなたも、今日は大切な特別な日なんですね」

「私、まだ、正直、迷っているんです」

「……そうですか……」

そう言ったまま、吉田はしばらく黙ってしまった。

私も、流れていく窓の外の景色を見つめた。

場内のアナウンスが流れ、あと15分後に東京に到着すると知らされる。

「……もう、忘れてしまいなさい」

吉田が笑みを浮かべている。

私は吉田の顔を見ると

「その、東京の彼のへの気持ちは、この電車が東京駅に着いてあなたが降りる時に、ここに置いていきなさい」

そう言われて、私の目からどっと涙が溢れた。

吉田は、諭すような表情で、

「ねぇ。そう、なさい」と私の肩に優しく手を置いた。

私は、溢れる涙を拭いながら、しゃくりあげて泣いた。

そして、小さく「はい…」と呟いた。

 

新幹線が東京駅に到着して、東海道新幹線にミツコさんを迎えに行くと言う吉田と改札口で握手をして、別れた。

 

吉田との2時間の一期一会の出逢いに、私は心から感謝して、

 

そして、私は、保との待ち合わせの時間までを夕日に照らさた、東京駅舎の前に立ち、赤と白のシマシマのレンガを眺めた。

 

                               おわり

 

不思議な遊園地で、母娘が体験したのは…

タイトル『不思議な遊園地・親孝行編』

 

 

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 このお話は、親子の絆、そして、親の大切さ、子供の大切さがテーマです。

普段は当たり前のように一緒にいても、それは、かけがえのない貴重で、

期間限定の時である事を、改めて知って欲しいと願い、物語を紡ぎました。

また、これを書いたのは、夏休みだったので、自分自身にも、そう問う気持ちでした。 

 

《ここから本文です》

 

ここは、どこにでもある遊園地。

でも、たった一つだけ、他の遊園地とは違う所があります。

『フシギ体験館』と入口に書かれたその建物です。

この『フシギ体験館』は、親子一緒の入場が決まりです。

さてさて、どんな、『フシギ体験』ができるのでしょうか。

あら、一組の親子が入って行きましたよ。

ちょっと、のぞいてみましょうね。

 

小学校6年生のあやめちゃんと、お母さんのけいこさんが、フシギ体験館に入ってきました。

フシギ体験館の中は、薄暗いです。

あやめちゃんとけいこさんは、ドキドキしながら中へと進んで行きます。

 

次ぎの薄暗い部屋の中には、二つの大きなソファベットが用意されています。

優しい女性のアナウンスの声が、

「ようこそ、フシギ体験館にいらっしゃいました。ソファにおかけください」

あやめちゃんとけいこさんは、ソファに座ります。

優しい女性のアナウンスの声が

「今からここで体験することは、今、あなたが心の中で一番気になっていて、解決したい事が体験できます。どうぞ、お気持ちを楽にして、イスにおかけください。体験時間は、20分ですが、もっと長く感じたり、もっと短く感じたりするかもしれません。そうですね、そのイスに座ると気持ちよくって、眠くなりますね。どうぞ、ゆっくりお休みください。危険な事は、一切ありません。全ての体験は、あなた自身の心の中でおこっている事です。では、のちほどまた、お会いしましょう。すてきな体験をお楽しみください」

あやめちゃんとけいこさんは、ぐっすりと眠ってしまいました。

 

「けいこ、あやめちゃん、おやつの用意ができましたよ」

けいこさんとあやめちゃんが、ゆっくりと目を開けます。

テーブルに並べられた、おいしそうなケーキと暖かくていい匂いのお茶です。

けいこさんは、驚いて大声で。

「お母さん!どうして、ここにいるの」

けいこさんとあやめちゃんにおやつとお茶を用意してくれたのは、けいこさんのお母さん

で、あやめちゃんのおばあちゃんです。

そして、けいこさんは、まわりを見回して。

「ここは、昔の私の家だわ」

フシギそうな顔で、あやめちゃんが。

「ママ、この人、死んじゃった、私のおばあちゃんで、ここはママが住んでいた家なの」

「あやめちゃん、はじめまして。あなたのおばあちゃんよ。お母さんに似て美人さんね」

「そおゆう、おばあちゃんも、若くてキレイだよ。写真でしか見た事なかったから。やっぱ、本物は、もっといいね」

「ほめてもらって、嬉しいわ」

けいこさん、お母さんに抱きつき、泣きながら。

「お母さん。会いたかったわ。いっぱい話したいこと、あったのよ。」

お母さん、けいこさんの頭をなでてあげながら。

「そうだよね。私だって、もっと、もっと、けいこと一緒に居たかったよ。あやめちゃんにも、会いたかったしね」

「おばあちゃんは、ママが、高校生の時に交通事故で死んじゃったんだよね」

「そうよ。ずっと、お母さんとケンカしていて、長い間、お話ししてなかったの。私、ずっと、ずっと、お母さんに『ごめんね。と、ありがとう』って言いたかったの」

「けいこの気持ち、わかっていたわよ。素直になれない気持ち。本当は、とっても優しくて、素直で、良い子だって」

けいこさん、さらに大泣きして。

「お母さん、いっぱい、いじわる言ってごめんね。お母さんは、私が、どんなに反抗してもいつも変わらずに優しかったよね」

「そうだったかしら」

「なのに、私ったら。素直になれなくて」

「ママったら、イヤな娘だったのね」

「お母さんが、あの日、突然……本当に突然……死んじゃって。……私、もう、何が起こったかわからなくて。……私も、死にたいって、何度も思った……」

「ごめんね。お母さん、けいこをうんと悲しませたわよね」

「でもね。ある日、気がついたの。死にたい。死のう、と思う度に、お母さんが、私を、遠くから、そっと見守ってくれているのが、わかったの」

「そうね。いつも、けいこを見守っているよ」

「だから、私も、母親になって、お母さんに、立派な私の〝お母さん〟ぶりを見せようって、思ったの」

「けいこは、とても、立派なお母さんよ」

「え~おばあちゃん。こんなママでオッケーなの」

「あやめちゃん。あなたを、この世に産んでくれた。それだけでも、お母さんに、〝ありがとう〟なのよ」

「でも、私は、別にママの所じゃなくても良かったもん。こんなにいつも、ガミガミうるさいママの所じゃなくて、もっと優しいママの所に産まれたかったもん」

「あやめ。ママも、子供の時にそう、思ってた。もっと別の違う理想のお母さんの所に行きたいって」

「ちょっと待って。おばあちゃん聞いてよ。ママったら、ほんとうにうるさいの。

『勉強しなさい!好き嫌いしないで食べなさい!お行儀よくしなさい!あれしなさい!これしなさい!って』。もう、命令ばかりでイヤになっちゃうよ」

「あやめちゃん。親はね、子供がかわいくって、大きくなって苦労したり、困ったりさせたくなくて、そうやって、うるさく言うのよ」

「私も、今のあやめと、同じ事、思っていた。

でも、自分が今、こうして、母親になってみて、お母さんの気持ちがわかるもの」

「ママは、絶対、私の気持ちなんか、わかんないよ!」

「あやめも、ママみたいに、お母さんになったら、わかるわよ。でもね、ママは、すっごく後悔してるの」

「なんで?」

「おばあちゃんが、生きている時に、もっと、たくさん、親孝行してあげれば良かったって

「けいこは、たくさん、親孝行してくれたわよ」

「え~ママって、そんに、いい子だったの」

「そりゃ、たくさん、心配させられたり、反抗されたりしたけど。親はね、『子どもが元気で、幸せに生きていてくれるだけでいいの』それが、親孝行なのよ」

「じゃあ、私は、ママにとって、すごく親孝行な娘なんだ」

「お母さん、あやめに、変な事言わないで。この子は、親不孝ばっかりしてるんだから」

「あら、あやめちゃん。そうなの?」

「そんな事ないよ」

「お母さん、聞いてよ。あやめったらね。

最近、私が、何を言っても無視するのよ。今日だって、遠足だっていうのに、ずっとむくれていて、ろくに話しもしないのよ」

「だって、ママって、いつも、ガミガミうるさいんだもの。ほんと、うざいのよ」

「あやめ!親にむかって、うざいとは何よ」

「ちょっと、二人ともケンカしないで。そうだわ、二人に見せたいものがあるの」

 

三人が揃って、お庭に出ます。

お庭には、満開の〝あやめ〟が咲いています。

「わぁ~すごいキレイ!このお花って何?」

「あら、あやめちゃん。あなたのお名前と同じ、じゃない」

「これ、あやめ?」

「お母さんは、お花が好きで、いつも、お庭には季節ごとにお花が満開だったよね」

「おばあちゃんって、お料理やお菓子づくりの天才だし、お花を咲かせるのも天才だし、

スゴイお母さんだったんだね。こんな、いいお母さんと、ママは、なんでケンカしてたの

「そうだよね。なんで、ママは、おばあちゃんとケンカしてたんだろう。今、考えても、理由が、わからないのよね。今の、あやめと同じで『うざい』って思っていたのかな」

「親は、子供を大切に思うから、ついうるさく言いすぎてしまうのよね。あやめの花言葉ってわかる」

けいこさんが、

「『あなたを大切にします』だよね」

「え~、私の名前にそんな意味があったの」

「そうよ。私が、大好きだったお花なのよ。

けいこは、覚えていて、あやめちゃんにつけてくれたのね」

「だって、お母さんは、私の、一番大切な人だもん。あやめ。あなたも、ママのおばあちゃんと同じ、一番大切な宝物だよ」

「ママ……」

「そうよね。けいこも、あやめちゃんも、けんかしても、すぐに仲直りしてね。そして、私ができなかった分まで、うんと仲良くね」

お母さんが、けいこさんとあやめちゃんの手をしっかりと握らせます。

見つめ合う、けいこさんとあやめちゃん。

「おばあちゃんに会えて、良かったよ」

「お母さん、本当に、ありがとう。私は、とっても、幸せだよ」

「わかっているよ」

「おばあちゃん、また、会おうね」

 

一瞬あたりは、真っ暗闇に。

けいこさん、あやめちゃんは、もとの、フシギ体験館の中のイスに座っています。

最初に流れた女性の優しいアナウンスの声が

「さあこれで、フシギ体験は、終わりです」

けいこさん、あやめちゃん、ゆっくり目をさまし、あたりを見回します。

優しいアナウンスの声が

「フシギ体験、いかがでしたか?楽しい体験でしたか?このフシギ体験が、お二人にとって、とても、いい体験である事でしょう。お気をつけてお帰りください」

けいこさんとあやめちゃん、微笑みあって

「ママ、楽しかったね」

「ホントね。すっごく、楽しかったわ」

「つぎ、ジェットコースターに乗ろうよ!」

「いいわよ~」

                               おわり

 

 

私も、今は亡き、世界一の母に「何度生れ変わっても、あなたの子供でいたいです」

と言いたいし、今、自分が母となり、子供たちにも、最高の母だったと思ってもらえるよう、愛情をたっぷりと注ぎたいです。

 

忙しい毎日ですが今日も、スマイルな一日でありますように💛

 

                           スマイル・エンジェル

 

 

双子のおばあちゃん姉妹のハワイ旅行は、何のため?

タイトル『フラフラばあさん・がみがみばあさん』

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このお話は、性格も外見も全く正反対の双子のおばあちゃん姉妹が、

ハワイ旅行に行き、そこで、出会った現地の子供達との交流を通して、

『勉強は、何のためにするの』のテーマです。

 

 

~ここから物語のはじまりです~

 

ここは、南の島ハワイです。

空には、輝く太陽とそして、どこまでもひろがる美しい青い海。

ハワイの一番有名なワイキキビーチに二人のおばあさんが歩いています。

このふたり、見た目は、ぜんぜんちがいますが、じつは、双子の姉妹です。

少し、ふとっちょさんで、頭に花のかざりをつけているのが、フラダンスが大好きな〝フラフラばあさん〟。

そして、おかっぱ頭で、メガネをかけてやせっつぽちな、ガミガミばあさん。

なんで、ガミガミばあさんかって。それは、これから、わかりますよ。

 

「まったく、暑いね。それにこの人混みはなんですか」とガミガミばあさんは、ひっきりなしにセンスをはたつかせて。

「青い海。白い砂浜。やっぱりハワイはさいこうね」とうっとりと海を見つめるふらふらばあさん。

「あんたが、死ぬ前に一度は、行った方がいいって、しつこくいうから来たけど、ここのどこが、いいのさ」

「あら~。このワイキキビーチを歩くだけでも、ワクワクしない?」

「しないね。私は、つかれたよ。ちょっとすずしいところで、きゅうけいしてくるよ」

と一人で、すたすたと歩いて行くガミガミばあさん。

「どうぞ~。私は、もうすこし、おさんぽを楽しみますね」と全く気にせずに見送る、フラフラばあさん。

 

ガミガミばあさんが、一人で、きゅうけいできる所を探して、大きなショッピング街のたてものに入ります。

ここも、沢山の人です。

ガミガミばあさん、座れるところはないかとキョロキョロします。

「まったく、どこにいっても、こんでいるよ。きゅうけいするところもないよ」

やっと見つけた、長いベンチ。一人分だけあいた場所がありました。

いそいでガミガミばあさんが、座ろうとしたら、高校生くらいの男の子が、ハンバーガーとコーラを持ってきて座ってしまいます。

男の子に席を取られて、怒ったガミガミばあさん。

腰に手をあてて少年を指差して、

「ちょっと、そこの若いもん。そこは今、私がすわろうと思ったんだよ。お年寄りに席をゆずる。これは、あたりまえでしょう。まったく、親の顔が見たいね」

男の子、日本語がわかりませんが、おこられているのがわかり、しぶしぶ席を立ちます。

ガミガミばあさんやっと席に座れて、

ガミガミばあさん「ほんとうに、今の若いものは、れいぎしらずだよ。あ~つかれた」

 

おさんぽを楽しむ、フラフラばあさん。

お花でつくった首飾り(ハワイアンレイ)のお店を見つけて中に入ります。

お店の中では、小学生の姉妹の女の子が、首飾りをつくっています。

フラフラばあさん「アロハー。あなたたち、えらいわね。おてつだいしているの」

姉妹の女の子が笑顔でこたえます。 

フラフラばあさん「こおして、お父さん、お母さんのおてつだいする子は、大きくなってからも、みんなから、愛されて、いっぱい・いっぱい、幸せになれるのよ」

ふたりの姉妹の女の子さらに大きな笑顔でこたえます。

「ふたりのお姫さまがつくってくれた、首かざり、いただくわ~」と姉妹が作っていたレイを指します。

ふたりの姉妹が喜んで、フラフラばあさんの首にできたての首かざりをかけてあげて、みんなで微笑みあいます。

 

こちらは、まだ、きゅうけい中のガミガミばあさん。

こんどは、ちかくであそんでいる数人の小学生たちに、

「ちょっと、そこのこどもたち。なんで、昼間からこんなところで、遊んでいるんだい。はやく学校にいって勉強しなさい」

日本語がわからないこどもたち、こまった顔をします。

隣に座っていた、日本語のわかる日系人のおじいさんが通訳をしてくれます。

「〝何のために学校へいかないといけないの?〟といっています」

「何のためって。子供が学校にいくのは、あたりまえでしょう。学校に行って、ちゃんと勉強して、いいせいせきをとるんじゃない」

「〝いいせいせきをとると、どうなるの?〟ときいています」と日系人のおじいさんが通訳します。

「せいせきがよかったら、いい大学に入れるじゃない」とうんざりしながら答えるガミガミばあさん。

「〝いい大学にいってどうなるの?〟ときいています」

「いい大学をそつぎょうしたら、いい会社にはいれる、おきゅうりょうもたかくなるし、いいけっこんもできるでしょう」

「〝それでどうなるの〟ときいてます」

「いいうちに住めるし、楽しくらせるじゃない」

「〝それからどうなるの〟ときいてます」

「それからは、もうどこかのあたたかいところで毎日のんびりくらすのよ」勝ち誇ったようにガミガミばあさん。

少年たちが、いっせいに笑います。

日系人のおじいさんも笑います。

みんなに笑われて、おこるガミガミばあさん。

「〝あたたかいところで、まいにちのんびりくらすことは、今、ぼくたちがやっていることだ〟といっています」笑いをこらえて、日系人のおじいさんが言います。

ガミガミばあさんが怒って「ふん!まったく、かわいくないね!」

「〝だから、いっしょうけんめいべんきょうしなくても、学校に行かなくても、今、ぼくたちは、楽しく。くらしているよ〟といってます」

「ふん!そんななまけたこといって!だけど、こどもは、学校に行って勉強するんだよ」

日系人のおじいさんが「そんなに、ガミガミいったら、きらわれますよ。それに、今は、夏休みで学校はお休みですから」

「夏休みだって。そんなもん私は、しらないよ!とにかく、こどもは、勉強するんだよ!いいね」

ガミガミばあさんは、プンプンおこりながら、あるいていて行きます。

 

首飾りのお店にいるフラフラばあさん。

二人の姉妹と仲良く首かざりを作っています。

「そうなの~。お母さんが病気で入院しているの。だから、こうしてお手伝いしているのね。」レイ作りを手伝うフラフラばあさん

お姉ちゃんが「私は、来年中学生です。中学を卒業したら、高校には行かないで、働きます。。勉強は好きじゃないし。学校もつまんないから」

「あら。働くって、この、お店で」

「いいえ。もっと、たくさんお金がもらえる、おしごとします」

「たくさんお金をもらって、どうすの?」

「いっぱい好きなおかしとか、お洋服とか、買ったり、いっぱい好きなことして遊びます」

「そして、どうするの?」

「そして、やさしいだんなさまと、かわいいこどもとなかよく、楽しくくらします」

「まぁ~すてきな夢ね。そうなるといいわね。でも、あなたたちのお母さんみたいに病気になったらどうするの?」

「それは、困ります・・・」

「そうよね。やさしいだんなさまが、働かないで、遊んでばかりいたら?こどもが、ぜんぜんいうことも聞かないで、学校もいかなで、悪いことばかりしたら」

「いやだし、困っちゃいます・・・」

「そうよね~。困ってどうしらいいかって、悩んじゃうわね。これから大人になっていく間には、たくさん楽しいことがあるけど、困ちゃうこともたくさんあるのよ」

「じゃあ。どうしたらいいの」と聞いてた妹が質問します。

フラフラばあさんが優しく「ちゃんと学校に行って、たくさん、いろいろなお勉強をしたり、運動をしてからだをきたえるの。困ったときに勉強をしていろんなことをしっていれば、どうやってもんだいを、解決すればいいかわかるでしょう。

体をきたえれば、病気になっても、早く直るでしょう。そして、たくさんのお友達をつくれば、困ったときにたすけてもらえるでしょう」

お姉ちゃんが「そうか~。そうね」

「このお花の首飾りは、あげた人が幸せになりますようにとねがってあげるものでしょう」

二人が、こくりとうなずいて。

フラフラばあさん「じゃあ、私から、二人が、もっと、幸せなになりますようにと、いっぱい、おもって」

フラフラばあさんが、二人の姉妹の首に花かざりをかけてあげて。

「うんと幸せになってね」

姉妹も喜んで「ありがとう!」

 

 

さてさて、ガミガミばあさん、フラフラばあさん、いっしょに、ハワイのおどりを見ながら、ばんごはんを食べるお店にきています。

きれいなおねえさんたちが、舞台でで踊っています。

それを、フラフラばあさん、ガミガミばあさんが座って見ています。

「まったく今日は、一日とってもイヤなことばかりだったよ。あんたが、『ハワイは、夢のような楽園だから一緒に行こう』っていうから、大金はたいてきたのに。

この国は、暑いし、人は多いし、ことばはつうじないし、こんなんじゃ、温泉にいったほうが、よっぽどよかったよ」とがみがみばあさん。

「あら~。まだ、そんなこといってるの。せっかくきたんですもの。楽しみましょうよ。私は、今日も、とても楽しい一日だったわ」とまったく気にしないフラフラばあさん。

店員が、飲み物を運んでくるが、誤ってガミガミばあさんの洋服にこぼしてしまいます。

ガミガミばあさん、とてもおこって、立ち上がり

「まったく!なにやってんの!冷たいじゃない!ちょっと、こんなに洋服もぬれちゃって。かぜでも引いたら、あんた、どうせきにんとるの」

店員さん、こまっていっしょうけんめいあやまります。

「大丈夫よ~。だれにだって、まちがっちゃうことがあるからね~。あたらしい飲み物をおねがいね」

ガミガミばあさん、もっとおこってフラフラばあさんに

「ちょっと、何よ!人のことだと思って!私は、とってもおこっているのよ!」

「そんなに、いつもおこってばかりいたら、血圧があがって、からだによくなし、お顔のシワがふえるわよ」

「私はね、あんたみたいに、いつも頭に花をのっけて、フラフラおどっていられますか」

「あら~楽しいわよ。そうだわ、一度おどってみたら」

「じょうだんじゃないわよ。ぜったいにいやだね」

すべてを見ていた、舞台のダンサーたちが、おいでとてまねきする。

フラフラばあさん、いやがるガミガミばあさんをひっぱって舞台に行きます。

 

フラダンスショーのぶたいの上では、

ダンサーたちにまざって、フラフラばあさん、ガミガミばあさんがならんでいます。

音楽がなり、ダンサーとフラフラばあさんがおどりはじめます。

こまって、とまどうガミガミばあさん。

ダンサーがやさしく、ガミガミばあさんにおどりをおしえると。

すこしずつ、いっしょにおどりはじめる、ガミガミばあさん。

だんだんたのしくなって、みんなで、たのしくおどります。

ほかの、お客さんたちも、ぶたいにあがり、もりあがって、おどります。

ガミガミばあさん、はじめて笑顔になり。

みんなで、楽しく、おどる、おどる、そして、おどる。

 

 

さあ、翌日の朝のワイキキビーチです。

フラフラばあさんとガミガミばあさんがならんで、おさんぽをしています。

「きのうは、たのしかったわね」とフラダンスの振り付けをしながらフラフラばあさん。

ガミガミばあさんも、とってもたのしかったけど、すなおにいえません。

そんなガミガミばあさんの横顔を見て「どうせ、生きるんだもん。もっと、たのしまなくちゃね」 

ガミガミばあさんも、そうだなとおもいます。

「ねぇ。あなたも、いっしょに、フラダンスやりましょうよ。楽しいわよ~」

「私が?フラダンス!?」

「そう。昨日も、とってもじょうずにおどっていたじゃない」

「そう、だった?じょうずだった」

「え~。とってもじょうずだったわよ」

「そうねぇ。やってみようかしら。じゃあ、これから、フラダンスのいしょうのお店に行こうかしらね」

「は~い。よろこんで、行きましょう~!」

 ガミガミばあさんも、うれしくなってきて。

「あ~、うれしいわ!だから、生きてるって、たのしいわね」

「そうね。生きていれば、少しはいいことあるわね」

フラフラばあさんも、フラのおどりをしながらたのしそうに歩いて行きます。

 そして、ふたり、なかよくならんでフラをおどりながら歩いて行きます。

 

                                 おわり

 

 

 

二人の長い人生を通しての言葉、参考になりましたか。

どうせ生きるなら、楽しく、生きたいですよね。

あなたは、フラフラばあさんとガミガミばあさん、どちらのタイプですか?

でも、今は、一生懸命勉強しないとですね。

人は、死ぬまで、何かしら学ぶんですもね。

 

忙しい毎日ですが今日も、楽しくスマイルな一日でありますように💛

 

                           スマイル・エンジェル

 

 

不思議な遊園地でいじめっ子が体験したのは。

タイトル『不思議な遊園地💀もう、しません!!編』

 

 

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このお話は、いじめっ子を、こらしめる物語です。

もしも、自分がいじめられたら、どんな気持ちになるかを体験してもらいます。

お母さんも、我が子が、学校で、お友達にこんなひどい事をしていたとわかったら。

 

私は、いじめる子供の心にも、なにか “もやもや” や “不満” が、

あるのだと思います。

その心のとげを抜いてあげたい。

 

自分がやられて嫌な事、辛いと思う事は、たとえ、誰であろうとも、してはいけない。

 

『君も、あなたも大切な宝物だよ』と伝えたい。

 

ちょっと、かわいそうですが、いじめっ子には、これくらいの体験をしてもらいましょう。

そして、お母さん。

一緒に寄り添ってあげてください。

 

 

《ここから本文です》

今日は、小学校の6年生の卒業親子遠足です。子ども達が大好きな遊園地を、クラスの仲間と、また、お母さんと一緒に回ります。『フシギ体験館』。ここだけは、親子一緒の入場がきまりです。さてさて、どんな、『フシギ体験』ができるのでしょうか。

 

たくや君とお母さんのようこさんが、入るようです。一緒にのぞいてみましょう。

 

フシギ体験館の中は、真っ暗です。

たくや君とようこさんは、不安そうに入ってきました。

優しいアナウンスの声で、

「ようこそ、フシギ体験館にいらっしゃいました。今からここで体験することは、今、あなたが心の中で一番気になっていて、解決したい事が体験できます。どうぞ、お気持ちを楽にして、イスにおかけください。体験時間は、二十分ですが、もっと長く感じたり、もっと短く感じたりするかもしれません。そうですね、そのイスに座ると気持ちよくって、眠くなりますね。どうぞ、ゆっくりお休みください。危険な事は、一切ありません。全ての体験は、あなた自身の心の中でおこっている事です。では、のちほどまた、お会いしましょう。すてきな体験をお楽しみください」

 

たくや君とようこさんは、ぐっすりと眠ってしまいました。どんな、体験をするのでしょう。

 

「お客さん。終点ですよ」

たくや君とようこさんがバスの中で眠っていまいます。

お客さんは、他に誰もいません。

ゆっくりと起きた、たくや君、ようこさんが。

「運転手さん。ここは、どこですか?」

「ここで、おわり。やり直しって事ですよ」

「やり直しって?何をやり直すのかしら」

あたり一面は、静かで、どこにでもあるような、山の中の村という田園風景が広がっています。

運転手さんが、

「さあ、早く降りてくださいな」

訳が分からず降りて、歩きだす、ようこさんとたくや君。

 

しばらく、歩いていると、先方から、農夫がやってきます。

「あの、すいません。この辺に食べ物を売っているお店は、ありませんか」

立ち止まった農夫は、ようこさんと、たくや君をジロッとにらみ、あからさまに、顔をそむけて無視して、歩いて行ってしまいます。

「何よ!感じわるい!」

また、歩き出す、ようこさんとたくや君。

 

ある、民家の庭先に出ていた、婦人を見つけ、

「すみませんが、近くに、食べ物を売っているお店は、ありませんか?」

婦人が、ようこさんとたくや君を、ジロリと見て、家の方に向かって、大声で

「ちょっと、塩を持ってきてちょうだい!」

ご主人が、塩を持って、出て来て、ご主人も、ようこさんとたくや君をジロリと見ます。

塩の器を持った婦人が、ようこさんとたくや君めがけて、思いっきり、塩をかけます。

「何、するんですか!」

婦人、さらに塩をかけながら。

「ここから、出ていきな!」

ご主人も、怖い顔をして、ようこさんとたくや君をにらみつけています。

「なんて失礼な人達なんでしょう!たくや行きましょう」

怒って、歩いて行くようこさんと、怯えながら、ついて行くたくや君。

少し遠くに、小さなお店を見つけます。

「たくや。あそこにお店があるわ」

「ママ、やっと、何か、食べられるね!」

 

小さなお店には、数人の小学生が、店の主人の婦人と楽しそうに語らっています。

ようこさんとたくや君が、店に入っていくと、皆が一斉に二人をジロリと見ます。

「たくや。好きな物、全部買ってあげるわよ」

小学生達が、ようこさんとたくや君を見て、小さな声で、ヒソヒソと話しています。

店の主人の婦人が、ようこさんとたくや君に

「あんたらには、何一つ売らないよ。帰っておくれ!」

「売らないって!どうしてですか?」

「お母さんね。息子に、今まで学校で何をしてきたか、ゆっくりと聞くといいね!」

たくや君、うつむいたまま黙っています。

「なんて、ひどい人達なんでしょう。たくや、行きましょう」

ようこさんが、たくや君を引っ張って出て行きます。

 

しばらく歩くと、休憩できそうな小屋があります。

「たくや。あそこで、少し、休みしましょう」

畳が敷かれた小さな小屋には、誰もいません。

入口で靴を脱いで、中に入り、座りこみ。

「たくや。さっきのおばさんが、言っていたけど、学校で何があったの」

たくや君うつむいて、黙り込んでいます。

「黙ってないで、話しなさいよ」

「…お母さん。いつも、僕が、話そうとしても、聞いてくれないじゃないか」

「だって、お母さんは、お仕事していて、忙しいのよ。たくやの塾や習い事に沢山お金が、かかるんだから。」

「ぼく。塾や、習いごとなんて、したくないよ!」

「何を言ってるの!塾に行ってお勉強するのも、お習い事も、全部あなたの将来のためでしょう」

「お母さんは、いつもそう言っているけど、ぼくの気持ち、何も聞いてくれないじゃないか」

「あなたは、まだ、子供なんだから、お母さんや、お父さんの言う事を、黙って聞いていればいいのよ。さぁ、行きましょう」

ようこさん、あたりを見回し。

「あら~、靴が無いわ。どこにいっちゃったのかしら。さっき、ここに脱いだわよね」

二人で、靴を探しますが、靴はなくなっています。

 

ここは、この村の小さな駐在所。

おまわりさんが、一人、ひまそうにぼんやりとしています。

靴がなくなり、はだしで歩き、疲れきった、ようこさんとたくや君が入ってきて、その場にどっかりと座り込みます。

「おまわりさん。ここの人達は、なんてひどい人達ばかりなんでしょう。道を聞いても無視され、塩をまかれて、店では、物を売ってもらえないし。そして、靴までかくされて」

「それは、大変でしたね」

「本当に、なんてひどい所なんでしょう!」

おまわりさんが、優しくたくや君に

「ぼく。人に無視され、塩をかけられ、お腹が空いているのに、食べられなかったり、靴をかくされたら、どんな気持ちかな」

たくや君は、黙ってうつむいたままです。

「どんな気持ちかな?」

「…いやな気持ち…」

「そうだよね。とっても、いやだよね。自分が、されていやな事、お友達にしちゃいけないよね」

「ちょっと、おまわりさん。たくやが、何をしたっていうんですか」

「たくや君。お母さんに言えるかな」

たくや君、うつむいたまま黙っています。

「お母さん。今日、ここでおきた事は、たくや君が学校でお友達にしてきた事なんですよ。

まず、仲間で、ある同級生を無視する。そして、何もしていないのに、砂をかけたり、暴力をふるう。給食にいたずらをして、その同級生の子は、何回か食事ができなかった事もありました。靴をかくされて、裸足で家まで帰った事もありました」

「そんなひどい事、うちのたくやが、したって言うんですか」

「そうです。全部たくや君がした事です」

「たくや!そんなひどいことしたの」

たくや君、黙ってうつむいたままです。

「お母さん。あなたも、全く知らなかったわけじゃないでしょう。学校の先生から、何回か注意があったはずですよ」

「たしかに、たくやが、同級生をいじめていると先生から、言われましたが。子供のやる事だし、そんなおおげさな事だと思わなかったので」

「お母さん。いじめは、立派な暴力ですよ。

人に無視される事だって、どんなに辛い事か。

いじめられた子供やその親は、どんなに傷つくでしょうか。それを苦にして自殺する子供だっている。そうなったらこれは、殺人ですよ。だから、いじめは、暴力なんです」

「たくや。本当の事、言いなさい」

「…そうです」

「もう、やらないよね」

「…もう、しません」

 

ようこさんとたくや君は、もとの、フシギ体験館の中のイスに座っています。

最初に流れたアナウンスの声が

「さあこれで、フシギ体験は、終わりです」

ようこさんとたくや君、ゆっくり目をさまし、あたりを見回します。

「フシギ体験、いかかでしたか?楽しい体験でしたか?このフシギ体験が、お二人にとって、とても、いい体験である事でしょう。お気をつけてお帰りください」

 

メソメソ泣くたくや君。

「お母さん。もう~、おうちに帰りたいよ」

「何、言ってるの。今から、いじめていたお友達に謝りに行くわよ!」

「もう、しないから…」

ようこさんに、ひっぱられて出て行くたくや君。

                              おわり

 

いかがでしたか。

これでたくや君もお母さんも、心を変えるでしょうね。

そう、あって欲しいと思います。

 

いじめをする子供の心に寄り添えるのは、あなたしかいません。

忙しい毎日ですが今日も、スマイルな一日でありますように💛

 

                           スマイル・エンジェル

 

 

「不思議な遊園地」で体験したのは👀少年の優しい心に涙ポロリ

 

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タイトル

「不思議な遊園地・いじめヒーロー編」       

 

この物語は、不思議な遊園地が舞台です。

“フシギ体験館”では、その人の潜在意識が、一緒に入った人と共有して、バーチャル体験ができます。

 

主人公のひろし君は、学校でいじめにあっていますが、辛くても、必死に耐えて、学校に通っていました。

そんな、とても頑張った、ひろし君にフシギ体験館が用意した贈り物とは。

 

もしも、いじめられている、君や、あなたがいたら、きっと同じような体験ができるよ。

でも、もう、我慢しなくてもいいよ。

いじめられている君は、何も、悪くないんだから。

頑張った君が、最高にカッコイイ、ヒーローさ!!

というメッセージを込めて書きました。

今、辛い思いをしている人がいたら、飛んでいって、抱きしめて、そう伝えたい。

皆さんも、そうですよね。

 

【ここから本編です】

 

今日は、小学校の6年生の卒業親子遠足です。

子ども達が大好きな遊園地を、クラスの仲間と、また、お母さんと一緒に回ります。

『フシギ体験館』。ここだけは、親子一緒の入場がきまりです。

さてさて、どんな、『フシギ体験』ができるのでしょうか。

 

ひろし君とお母さんのみゆきさんが、入るようです。

一緒にのぞいてみましょう。

 

フシギ体験館の中は、真っ暗です。

ひろし君とみゆきさんは、ドキドキしながら、入ってきました。

優しいアナウスの声で、

「ようこそ、フシギ体験館にいらっしゃいました。今からここで体験することは、今、あなたが心の中で一番気になっていて、解決したい事が体験できます。どうぞ、お気持ちを楽にして、イスにおかけください。体験時間は、二十分ですが、もっと長く感じたり、もっと短く感じたりするかもしれません。そうですね、そのイスに座ると気持ちよくって、眠くなりますね。どうぞ、ゆっくりお休みください。危険な事は、一切ありません。全ての体験は、あなた自身の心の中でおこっている事です。では、のちほどまた、お会いしましょう。すてきな体験をお楽しみください」

 

ひろし君とみゆきさんは、ぐっすりとねむってしまいました。

どんな、体験をするのでしょう。

 

パシャ、という音と、フラッシュがたかれ、まぶしくて、目を開ける、ひろし君とみゆきさん。

沢山の人々が、二人を取り囲むように、群がっています。

そして、ひろし君とみゆきさんに拍手をしながら、

「おめでとう!」

「偉いわね!」

「よく、がんばったね!」

涙ぐみながら声をかける人や、ひろし君とみゆきさんに握手を求める人、サインを求める人もいます。

ひろし君とみゆきさん、何がおこったか、わからず、とまどいます。

「ねぇ、お母さん。なんで、ぼくたち、こんなに騒がれているの」

「お母さんも、わからないわ」

男の人が、ひろし君に握手を求め

「私は、この街の町長です。ひろし君。君は、ヒーローだよ。えらい!よく頑張った!

今日は、私に代わって、ひろし君、きみが一日町長だよ」

「え~。ぼくが?ヒーロー?」

「あの~町長さん。うちの子が、いったい何をしたのでしょうか」

「お母さん。あなたも、偉い!辛かったでしょう!イヤ、本当によく耐えた!偉い。

さぁ、車に乗ってください。町中のみなさんが、お二人を祝福していますよ」

ひろし君とみゆきさん、町長が、立派なオープンカーに乗り込むと、ゆっくりと車が動きだします。

 

町中の人々が、ひろし君たちの車に手をふったり、声をかけたりして、祝福しています。

最初は、恥ずかしかった、ひろし君とみゆきさんも、だんだんなれてきて、笑顔で、町の人に手をふって応えます。

町中をパレードした車が、大きくて立派な建物の前で止まりました。

真っ赤なじゅうたんが、引かれた上をゆっくりと降りて歩くひろし君とみゆきさん。そして、町長さんとつづきます。

ひろし君とみゆきさん、町長さんが、町中の人々の祝福の中、建物に入って行きます。

 

大きくて広い部屋の中も、沢山の町の人が、ひろし君、みゆきさんを拍手で迎えます。

中央の舞台に案内された、ひろし君とみゆきさんを町長が、迎えます。

会場内が、静かになり、皆が、三人に注目します。

町長が、表彰状を読み上げます。

「ひろしくん。あなたは、長い小学校生活で、同級生のいじめにあいました。無視されたり、物をかくされたり、時には、暴力まで受けました」

静かな会場内から、小さな声で

「まぁ~。かわいそうに……」

「まったく、ひどいわね!」

と呟いたり、すすり泣く声も聞こえます。

「そんな、いじめに、時には、負けそうになり、しばらく学校を休みましたね」

ひろし君はずっと、うつむいたままです。

「しかし、その後、お母さんや家族の人達の愛情と励ましに支えられて、今日まで、頑張って、(町長も、涙をこらえて)本当に、頑張って……」

会場のあちこちで、すすり泣く声がします。

みゆきさんも、ハンカチで涙をふきます。

「本当に頑張って、学校に行きました」

場内から一斉に拍手が起きます。

「(大声で)偉い!」

「(大声で)本当に、頑張ったね!」

と声がかかります。

町長が、続けて

「この〝いじめ〝という暴力に負けないで、勝った!そのひろし君の偉さを、私達は、心から、尊敬します。ひろし君。君は、誰よりも強くて、優しくて、カッコイイ、正義のヒーローです!」

場内、割れんばかりの大拍手がおこります。

うつむいていたひろし君も、ゆっくりと顔をあげ、場内を見回します。

会場中の人が、ひろし君を祝福しています。

笑顔で応える、ひろし君。

その横で大泣きするみゆきさん。

「お母さん。お母さんも、辛かったでしょう。本当に一緒によく頑張りましたね。

お母さんの愛情と励ましが、何よりの、支えだし、ひろし君の一番の味方です。みゆきさん。あなたは、世界で一番偉大なお母さんです!」

更に、場内、割れんばかりの大拍手。

泣きながらも、笑顔をつくり応えるみゆきさん。

「よって、ひろし君、みゆきさんを、我が町の名誉町民として表彰します!」

会場内、更に、大拍手に沸きます。

表彰状と花束が、ひろし君とみゆきさんに手渡されます。

ひろし君に、マイクが向けられます。

ひろし君しばらく考えて

「ありがとうございます。…友達に、いじめられて。毎日、すっごく辛くて、…死んでしまいたいと思いました。…お母さんは、いつも、僕を励ましてくれました。毎日、一緒に学校に行ってくれ、一緒に授業も受けてくれました。…もしも、僕が、死んだら、大好きなお母さんが、かわいそうだと思いました」

場内から、一斉にすすり泣きの声がする。

「僕には、夢があります。大きくなったら、大好きな電車や飛行機に乗って、世界中をまわりたい。たくさんの人と、友達になりたいと思います…今日は、すっごく嬉しいです」

場内から、盛大な拍手。

マイクが、今度は、みゆきさんに向けられ。

「今日は、本当にありがとうございます。ひろしは、本当に、よく頑張ったし、偉いと思います。可愛いい我が子が、『死にたい』と思うほど、苦しめられ、追い詰められる。この〝いじめ〟はまさしく暴力であり、殺人と同じくらいの罪だと思います。人を〝いじめ〟た人も心に大きな傷を受けます。〝いじめ〟は誰も幸せにしません。

どんな人にも、この〝いじめ〟の心があると思います。その弱い心に負けないで、勇気の強い心を取り出して、これからも、生きていきたいと思います」

場内に盛大な拍手がいつまでも鳴り響きます。

 

ひろし君とみゆきさんは、もとの、フシギ体験館の中のイスに座っています。

最初に流れたアナウンスの声が

「さあ、これで、フシギ体験は、終わりです」

ひろし君とみゆきさん、ゆっくり目をさまし、あたりを見回します。

「フシギ体験、いかがでしたか?楽しい体験でしたか?このフシギ体験が、お二人にとって、とても、いい体験である事でしょう。お気をつけてお帰りください」

笑顔でみつめあうひろし君とみゆきさん。

「ひろし。つぎ、観覧車に乗ろうか」

「うん。いいよ」

仲良く、出て行くひろしくんとみゆきさん。

                              おわり

 

 改めて、自分で書いた作品ですが、また、号泣してしまいました(>_<)

もしも、魔法が使えたたら、こんな苦しみをパッと取り除いてあげたい。

あなたができる事は、何か、考えてくれたら嬉しいです。

 

あなたの勇気の一歩が、そう、世界を変えるのです。

まずは、勇気を出して!!Let’s Stand up

                                                          スマイル・エンジェル

 

いじめバスターズ!いじめっ子の心を退治します。

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タイトル『いじめバスターズ』

  ~いじめの心をやっつけろ!~

 

この物語のテーマは、

いじめっ子の心をやっつけろ!です。

 

人をいじめてる自分自身がいやでたまらない主人公が、

その自分の心を退治する、やっつけるお話です。

いじめは、誰も、幸せにしない。

人をいじめても、それは結果、自分自身の心をズタボロにする 。

そんなメッセージをこめて物語を紡ぎました。

 

 《ここからが本文です》

 

この世に『頭がよくなるクスリ』があったら、いいのにな、と思う人は多いと思う。

でも、ぼくは、『心を直すクスリ』があったらいいと思う。

 

「ドクター。検査の結果がでました。〝いじめ〟指数9です」

「ギリギリの数字だな。よし、では、クスリで様子をみよう」

ここは、真夜中の、ぼくの部屋。

ぼくは、ぐっすり眠っているらしい。

でも、はっきりとわかるんだ。

誰かが、さっきから、ボクを調べている。

フシギと、怖くはないんだ。

とても、心地よくって、起きてみたいけど、眠くって起きられない。

電話のベルのような音がなり、

「はい、イジメ・バスターズです。はい。今、治療中でして。ドクター。

緊急出動の要請ですが」

「わかった。ここはもう、終わるから、すぐに行くと伝えてくれ」

ボクは、半分眠った頭で考えた。

〝イジメ・バスターズ?〟それって、なんだ?治療中って?。

ドクターと呼ばれる人が、ぼくの頭を優しくなでた。

あったかくて、心地いい感触だ。

「大丈夫。絶対に治るからね。さぁ、行こう」

ボクは、また、深い眠りに落ちた。

 

朝、目が覚めたら、軽い頭痛がした。

さわやかに、晴れた空。

でも、ボクの心はいつも、どしゃぶりの雨みたいだ。

何が原因かって、わかっている。もう、こんな事は、やめようって。

『助けてほしい』って何度も、思った。

でも、誰に言うんだ。どうせ誰も、ボクの気持ちなんか、わかってくれないんだ。

 

学校に行ったら、アイツが、一瞬、怯えた顔で、ボクを見た。

その、怯えた態度が、むかつく。無性に腹がたつ。

もっと、もっと、〝いじめ〟たくなる。

二度と学校に、来れなくしてやりたい。

そう、思った瞬間、頭が割れそうに痛くなった。胸も息苦しい。

どうしたんだ。ボクは、どうしたんだ。

痛い!苦しい!死にそうだ!誰か、助けてくれ!

 

目が覚めたら、保健室のベットで眠っていた。

「大丈夫?気分はどう?」

保健室の先生が心配そうにのぞきこむ。

「はい。大丈夫です」

「もう少し、休んでいていいのよ。真っ青な顔して、教室で倒れたんだから。

勉強のしすぎなんじゃないの」

ボクは、来年、私立中学を受験する為に、放課後は、ほぼ毎日、塾に行き勉強している。

勉強は、嫌いじゃない。どちらかというと、好きな方だ。

だけど、毎日毎日、受験のための勉強って、何だろうって。

なんでこんなに勉強しなくちゃいけないのだろうって思う。

お兄ちゃんは、小学校から受験して、私立に入った。

ぼくだけ、小学校の受験に失敗した。

お母さんは、そんな、ボクがキライなんだ。

『どうしてお兄ちゃんは、できるのにあなたはできないの?』が口癖だ。

仕事で、別の遠い所に住んでいるお父さんとは、もう、何ヵ月も、口をきいていないし、ほとんど、会っていない。

 

教室に戻ったら、アイツは、いない。

仲間の一人が、「アイツ、キミが保健室に行ったから、うちに帰ったよ」

「ふ~ん」

アイツとは、ボクたちの、今のいじめのターゲットだ。

ボクは、このクラスでは、ボスなんだ。

誰も、ぼくに逆らえない。だから、ボクが、気にいらない奴を、徹底的にいじめるんだ。

どうやって、いじめるかって。

まずは、無視だ。そして、わからないように、物をかくしたりする。

靴をかくすのが、一番こたえる。あとは、給食にわざとゴミを入れて、食べられないようにしたり。

いじめは、だんだん、エスカレートするんだ。

ボクだって、最初は、むしゃくしゃして、話しかけられても、無視しただけだったんだ。

そしたら、相手が、とても困ったり、おどおどする様子に、心が一瞬スカッとしたんだ。

そしたら、もっと、困らせたくなって。

先生も、ボクのやっている事を知っている。

けど、何も言わない。

うちのお父さんと同じだ。

ボクらに興味がないんだ。

だって、ボクらを見る目が、腐っている。

ボクは、授業を受けながら、昨日の、夜の出来事を考えてみた。

〝イジメ・バスターズ〟って何だろう。

あれは、絶対に夢なんかじゃない。

ボクの頭をなでてくれた感触は、今でも残っている。

「先生。英語で〝バスターズ〟って、どういう意味ですか?」

ボクは、自分でも、ビックリした。授業中にこんな事を聞くなんて。

先生は、少し考えて

「バスターズ……やっつけるって意味じゃないか。前に、〝ゴースト・バスターズ〟っていう、おばけを退治する映画があったしな」

イジメ・バスターズとは『いじめをやっつける』ってことか。

いじめっ子のボクをやっつける?

でも、ボクの頭をなでてくれた人は、ドクターと呼ばれていたな。

ボクは、考えた。

昨日、ボクは、いじめの心をやっつける治療を受けたのか。

あの、ドクターと呼ばれていた人は、いったい誰なんだ。

でも、もしも、本当にボクのいじめの心をやっつけてくれるなら、

心から、そうして、欲しいと思った。

『ボクを助けて』って。

どんなに、いじめをしても、心は、晴れない。

だけど、怯えたアイツを見ると、たまらなくいじめたくなるんだ。

どうしても、その気持ちが押さえられなくなる。

クラスの中でも、一緒にいじめる奴や、知らん顔してる奴もいる。

知らん顔している奴は、次に自分がいじめのターゲットにならないように、おとなしくしている。

いやな奴らだ。

だから、ボクは、クラスのみんなが、キライだ。

でも、一番、今の自分が大キライだ。

 

家に帰ったら、珍しくお母さんが居た。

お母さんは、パートで仕事をしながら、お兄ちゃんの学校の役員をしているから、ボクが、家に帰っても、ほとんど家にいない。

 

ボクも、すぐに塾に行くから、お母さんとも、あまり顔を合わせない。

「ただいま。今日、塾休んでもいいかな」

「なんで?」

「ちょっと、具合が悪いんだ。今日、保健室で、寝てた」

「熱がないなら、行きなさい。一日さぼると癖になるから」

「頭が痛いんだ。胸も痛くなって、死にそうになったんだ」

「そう。それで?」

「だから、今日は、塾を休みたいんだ」

「ふ~ん。塾に高いお金払っているのよ。一日休んだらもったいないじゃない」

「塾なんか、もう、行きたくないよ」

「ちょっと。誰のためにお母さんも、お父さんも、大変な思いしてお仕事してると思うの。全部、あなた達の将来の為じゃない」

「自分の為だろ!自分の満足の為だろ!」

「小学校の受験に落ちていなければ、こんな苦労しなくて良かったでしょ。とにかく、塾行きなさいよ」

お母さんも、大キライだ!ボクの気持ちを聞いてくれない。

ボクだって、いっぱい、言いたい事あるんだ。

また、頭が痛くなってきた。胸も息苦しい。

このまま、死んでしまえばいい。ボクなんか生きていなくても、

誰も、困らないし、その方がいいんだ。

意識がぼんやりとして、目の前が真っ暗になった。

 

どれくらい、時間が経ったのだろう。

目が覚めたら、自分の部屋のベットで、寝ていた。

まだ、頭が、ガンガン痛い。

「気がついたようだね」

聞き覚えのある声がした。暗闇に目がなれると、お父さんくらいの歳の男の人が立っている。

「あなたは、誰ですか」

「私は、違う星から来た、心の傷を治す〝医者〟だよ」

「違う星?心の傷を治す、お医者さん?」

「そう。この星には、たくさん、心に傷をおった人があふれていてね。

特に、キミみたいに、心に大きな傷をおっている子がたくさんいるんだ」

「〝いじめ・バスターズ〟?ですか」

「そうだ。心に刺さった、いろいろな毒のトゲが原因となって、

さまざまな心の病気になる。それを治すのが、私の仕事なんだよ」

「ボクの病気は、治るの」

「ああ、必ず治るよ。頭が痛くなったり、胸が苦しくなるのは、

私が、治療したクスリが効いているからなんだよ」

「ボク、治りたい」

「大丈夫。自分から、治りたいって気持ちがあれば、必ず、治るよ」

「ずっと、助けて欲しかったんだ。こんな、自分が、大キライだった」

「誰の心にも、〝いじめ〟の心があるんだよ。でも、その悪い心に負けてはいけない」

「わかっているけど。やめられないんだ」

「人をいじめれば、いじめた分、いや、それ以上になって、自分が何かで苦しまなければならない。自分で、自分をメチャメチャにいじめているんだよ」

「…そうなんだ…」

「でも、キミは、もう治っているさ」

 

朝のまぶしい光で、目が覚めた。頭も、どこも痛くない。

心が、スカッと晴れている。

ボクは、はっきりと思った。

夢なんかじゃない。

あの人は、違う星から来た、心の傷を治すお医者さんって言ってた。

ボクの心を治してくれたんだ。

もう一度、あの人に会って、色々話してみたい。

けど、でも、もう、二度とあの人には会えないと思う。

だって、ボクは、生まれ変わったんだもの。

 

                       おわり

 

あなたの勇気の一歩が、そう、世界を変えるのです。

まずは、勇気を出して!!Let’s Stand up

                                                          スマイル・エンジェル

 

輪になって踊ろう♪いじめを傍観していた僕が勇気の一歩で起こした奇跡

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タイトル『輪になって踊ろう♪』

~いじめ傍観者の僕が、いじめ救出者に~

 

この物語のテーマは、

「いじめられている人を見ていても、何もしない=傍観している=は、いじめている事と同じだよ」

ということです。

自分には関係ないしと無関心だったり。

自分も、いじめられたくないしと、臆病だったり。

面倒くさいし、だったり。

 

あなたは、目の前にいじめられている人がいたら、どうしますか?

そんなメッセージをこめて物語を紡ぎました。

 

 《ここからが本文です》

 「お前が、黒いからだよ!」

コウタの声が教室に響いた。

学校の二十分休みが、終わろうとしていた。

ボクのクラス、5年3組には、お父さんが、アフリカ人、お母さんが、日本人のマイクがいる。

クラスのボスのコウタは、このマイクを目の仇にしている。

「俺は、黒人が、大嫌いなんだよ。アフリカに帰れよ」

コウタがまた、大声で叫んだ。

クラスのみんなが、黙っている。

一部の女子が、ヒソヒソと話しはじめた。

ボクも、黙っていた。

マイクが、ランドセルを持って、出て行く。

コウタは、勉強も、運動も学年で一番だ。

みんなが、一目置いている。

なんとなく、コウタには、逆らえない。

そんな空気がある。

ボクも、コウタには、何も言えない。

先生が、入ってきた。

「さあ、みんな席について。マイクは、どうした?」

「帰りました」おせっかいな女子が答える。

「帰ったって。聞いてないぞ。具合でも悪くなったのか」

誰も、何も言わない。

先生は、少し考えて、「はい。じゃあ、授業をはじめるぞ」

何もなかったように、授業が進んでいく。

先生も、マイクがいじめにあっている事を、知っている。

でも、何もしない。

先生は、なんでも一番のコウタをひいきしているんだ。

前にマイクの両親が、先生の所に話しにきて、

マイクのお父さんが、怒って英語で話したら「ここは、日本なんだから、日本語で話せって、怒鳴りたくなりましたよ」と教頭先生に言っていた。

たぶん、それを、根に持っているんだろう。

ボクは、マイクと友達ではないけど、今日は、マイクがとてもかわいそうだった。

もう、学校にこないかもしれない。

放課後、マモルがメモを持って近づいてきた。

「明日、マイクが学校に来るか、みんなでかけているんだけど、

ヒロシは、どっちだと思う」

うんざりした。〝くだらねぇ!〟って、言いたかったけど

「わかんない」って答えた。

「わかんないはないだろ。どっちだよ」

「わからないは、わからないんだよ」

ボクは、ランドセルを乱暴につかみ、教室から出た。

腹がたった。とても、腹がたった。

なんで、ボクは〝本当の事〟を言えないんだ。コウタにも、マモルにも、

クラスのみんなにも『そんな、くだらないいじめは、やめろ』って。

いつも、心の中で、思っているのに。

 

ぼくの家は、この辺りでは、珍しい、〝ジャズ〟という音楽を聞かせる店を、

お父さんがやっている。

「だだいま」ボクは、店に顔を出す。

昼は、コーヒー、夜になると酒場になる店には、数人の常連さんがいる。

「おい、ヒロシ。ちょっと、寄ってけよ」

ボクの家は、店の裏側だけど、学校から帰ったら、

必ず、お父さんに顔を見せる事になっている。

「宿題あるから、いいよ」

「いいから。コーラ、飲むか」

バレた。お父さんが、コーラーをすすめる時は、ボクに何か白状させたい時なんだ。

「また、コウタが、マイクをいじめた。もう、マイク、学校に来ないかもれない」

聞かれる前に、ボクは、白状した。

「ヒロシは、どうしたいんだ」

「正直、困っている」

「どうして、ヒロシが困るんだ」

「だって、マイクを助けてあげたいけど、コウタには、逆らえないよ」

「助けてあげたいけど。そう、できないのか」

「…うん」

「同じだな」

「え?」

「困っている人を助けないのは、いじめている、コウタと同じ事をしているんだ」

「ボクは、何も言ってないし、してないよ」

「例えば、川で溺れている人がいる。ほっといたら溺れて死んでしまう。ヒロシならどうする?」

「助ける」

「そうだろ。もしも、自分で助けられないと思ったら、誰か他の人を呼んだりして、何としても、助けるだろ」

「…うん」

「先生は?」

「知ってるけど、何もしない」

「じゃあ、お父さんに任せろ」

「任せろって?」

「お父さんも、いじめを知ったんだ。知っていて、助けないわけにいかないだろ」

「でも、どうやって?」

「俺を誰だと、思っているんだ」

「お父さん」

「とにかく、任せろ」

本当は、お父さんに話したかった。

お父さんなら、マイクを助けてくれるような気がした。

ボクのお父さんは、普通のお父さんじゃない。若い時から、何年も、世界中を旅して回って、

外国で知り合った、ボクのお母さんと結婚して、ボクが生まれたから、

日本に戻ってきたらしい。

この、お店を開いて、ボクが3歳の時に、お母さんは、ボクらを置いて、

出て行ってしまった。

だから、ボクは、お母さんを写真でしか知らない。

「ヒロシ。おっかえり~」

大きなお腹をした、ジーナが奥から出てきた。

ジーナは、アフリカ出身でフランス育ちのジャズのピアニストだ。

お料理の腕もプロ級だ。

ジーナが、ボクの新しい、お母さんで、もうじきボクに弟ができる。

 

次の日も、その次の日もやっぱり、マイクは、学校に来なかった。

先生も、クラスのみんなも、まるで、最初からマイクがいなかったようにしている。

ボクは、心がソワソワ、ムズムズする。

お父さんが言った「何もしないのは、悪いことをしているんだ」って言葉が、

心に刺さったままだ。

一体どうしたらいいんだ。

 

マイクが、休んで、5日目の朝、お父さんが、クラス全員分の手紙をボクに渡した。

「これ、何?」

「招待状だよ。マイクの分は、英語で書いたから、必ず、直接渡してくれよ」

「招待状って、何するの」

「まぁ、俺に任せておけ」

 

放課後、クラスの全員に手紙を配った。

そして、ボクは、マイクのうちに行った。

 

玄関がオートロックの立派なマンションが、マイクの家だ。

お母さんがロビーまで出てきて

「ごめんね。せっかく来てくれたのに。マイク、誰にも会いたくないって」

「いいんです。あの、これ、ボクのお父さんからです」

「お父さんから?ちょっと、開けてみてもいいかしら?」マイクのお母さんが、

その場で開けて、読んで

「ワァ~オ!コングラッチュレーション!」

「あの~、何って、書いてありますか?」

「『今度の日曜日、結婚披露パーティーをやりますので、是非、ご家族でご参加ください』って。おめでとう!」

これは、困った。まさか、お父さんがこんな事をするなんて。

今度は、ボクが学校にいけなくなるじゃないか。

 

その日マイクの家から帰ったボクは、お父さんと一言も口をきかなかった。

 

次の日、学校に行きたくないボクは、わざとゆっくりと、通学路を歩いていた。

後ろから、誰かが、「よう!」と声をかけてきた。振り返るとコウタだ。

一番、会いたくないコウタが、ニヤニヤしている。

「日曜日、楽しみにしているよ。おめでとう

 

日曜日、ぼくの家の店は、5年3組のほぼ全員とその父兄で、ごったがえしている。

女子は、みんなオシャレをしているし、男子も普段よりいいものを着ている。

先生もいる。

ボクは、ジュースを配ったりして、大忙しだ。

マイクが、お母さん、お父さんと入ってきた。

みんなが、一斉に注目する。

今日は、また、特別にキレイな花嫁姿のジーナが、初対面のはずなのに、

マイクのパパを熱列に歓迎する。

マイクのママが、大きな花束をジーナに渡す。

マイクも、ジーナにプレゼントを渡す。

一気に空気が、変わった

。マイクの家族を見る、みんなの目が変わった。

明らかに、マイク達を歓迎している。

 

その後は、もう、大騒ぎのお祭り騒ぎだ。

お父さんと仲間の人達の生演奏で、みんなで、輪になって、

ダンゴになって踊る、踊る。

コウタもマイクも先生も、ボクもなんだか、ごちゃ、ごちゃ、で踊った。

そして、ジーナのおいしい料理をみんなで食べて、

笑って、そして、また、輪になって踊った。

 

何故か、それから、学校で、もう誰も、マイクにいじわるをしなくなった。

休み時間には、マイクが英語を教えてくれると、何人かがいつも集まっている。

コウタも、マイクから、英語を習っている。

 

ボクの、お父さんは、やっぱり普通じゃない。

そして、ぼくには、肌の色が違う、かわいい弟ができた。            おわり   

 

あなたの勇気の一歩が、そう、世界を変えるのです。

まずは、勇気を出して!!Let’s Stand up

                                                          スマイル・エンジェル